はじめに
今回はプラリペアでプラスチックを接続する方法と、実際に使ってみたレビューをまとめます。
こちらの折れたContact SheetというVR機材を接続します。
熱と科学溶接の使い分け
私が思う使い分けは下記。
【熱溶接】
・グルーガンのように溶かして溶接する
・パーツがプラスチックだけな時に有効
・溶けたプラスチックの煙などは有害
・接続箇所に強い熱の負荷がかかる
・広範囲に有効
・大きめのパーツを修理するのぬ向いている
・車、パイプ、カヌーなど
【科学溶接】
・俗に言う接着剤を使う方法
・強力な接着剤は、元のプラスチックを溶かして接着させる
・パーツがプラスチック以外のモノがある場合に検討する
・接続箇所に化学反応的な負荷がかかる
・溶接に使う化学薬品などが有害
・一部のモノは、欠けて無くなった部品を再現できる
・狭い範囲、特殊な条件で有効
どちらにせよ、プラスチックを扱った時点で有害性は出てきます。
仕方ないです。
あと、どちらを選ぶかは…
溶接に使う機材や材料を持ってるかどうかによる所があります。
↓プラスチックの熱溶接は、このような機材使って固めます。
そして、今回溶接するパーツはこちら。
これは電子回路が合わさったパーツです。
なので、熱溶接だと熱すぎて回路を壊してしまう可能性がありました。
このような “熱” が使えない場面で科学の力を使った溶接は役立ちます。
事前に、電子回路などの守りたいパーツが接着剤で溶けないかテストしてくださいね…。
なので、今回はプラリペアによる科学溶接を選びました。
以上が、熱と科学溶接の使い分けについての解説です。
プラリペアの購入先とカラーについて
プラリペアはネットで売ってます。
↓私はこちらの「クリアカラー」を買いました。
メルカリなどにも、ほぼ新品が売られてます。
↓メルカリの場合、大きさと送料の関係でパッケージの一部が切られることが多いです。
amazonだと、送料無料にするのに3500円かかるので…
気にしない方はメルカリで買うのも手。
セドリ界隈の人が、メルカリに人ほぼ新品で出してます。
Amazonなどのセールや、ポイント倍増キャンペーンの時に買い…
セールが終われば新品より少しだけ安い値段に値上げする。
その差額やポイント分を儲ける仕組みのようです。
(セドリは詳しくないので、このぐらいしか分かりません)
プラリペアは接着するプラスチックを溶かす性質があります。
↓なので、クリアカラーでも黒いプラスチックに使えば黒くなります。
横から見ると、元のプラスチックが溶けて色が混ざった。
そして黒くなったことが分かります。
なので、クリアカラー(透明)が一番使いやすいと思います。
他のモノだと白や黒色が売られてたりします。
これは、どうしても素材の色にこだわりがある人向け。
ただ「白って200色あんねん」問題が起こるので…
普通にクリア買って使うのが一番無難と思います。
プラリペアの購入先とカラーについての解説です。
プラリペアの開封
こんな感じのパッケージで届きました。
開けるのには失敗しましたが、中身はこんな感じ。
台紙は説明書になってるので、丁寧に開けた方が良いです。
重要なのは下記の5つ。
この5つがプラリペアの中身となります。
以上が、プラリペアの開封の紹介です。
プラリペアの使い方
まず、換気が良い所にいきます。
そして、こぼれても良いようにアルミホイルなどを敷きます。
ラップだとプラスチック系で溶けると思い…
金属の「アルミホイル」を下敷きに選びました。
液は有毒かつ、かなり臭いので…
換気が良い所で作業してください。(屋外が理想)
そしたら、液を空けてスポイトで吸います。
ちなみに、液の蓋には強力な中蓋があります。
こちらを、つまようじなどで頑張って開ける必要があります。
この時点で、絶対に手に着くと思います。
あと、液が少しハネます。
なので、気にする方はゴーグルや使い捨て手袋を用意した方が良いです。
あれば防毒マスクなども用意します。
そして、液を「液入れ」に入れます。
こちらが液入れです。
この液入れは、中蓋があり左右にズラすような形で動かすと取れます。
液入れと、蓋の角度を大きく変えようとするのがコツ。
ネジ式ではないので、回しても取れません。
中蓋を取ると、こんな感じになります。
この状態で液を入れます。
液を入れたら、針をかぶせます。
こんな感じに、中蓋にかぶせて使います。
そして、針は中央部分に穴があります。
この状態になりましたら、2つの接着法を選んで使います。
2つの接着法はこちら。
・ニードル法 → 超狭い範囲に有効(ピンポイント修理)
・ふりかけ法 → 広い範囲に有効(割れなどの修理)
この2つを見ていきます。
ニードル法
針から液を出します。
そして、針先に表面張力の力で液を溜めます。
この状態で、粉につけます。
すると液に粉がつきます。
そして、接地したい部分に液と粉を混ぜた状態で使う方法です。
詳細は、のちほど紹介しますが…
接着箇所は「V字」で削ると、強度が上がります。
↓こんな感じで使います。
ただプラリペアは硬化までの時間が短いです。
なので、ニードル法だと広い範囲の割れ目接着は作業か追い付きません。
ニードルは本当にピンポイント。
ガンプラなどの関節パーツみたいな場所にしか使えないと思います。
そこで、基本的な「割れ目」は、次に紹介するふりかけ法をおすすめします。
以上がニードル法についての解説です。
ふりかけ法
ふりかけ法は、接着箇所に先に粉を置く方法です。
容器からふりかけるように粉を乗せます。
その上に、液を流して接着する方法です。
結構、乗せてしまって大丈夫です。
この状態で液を流して固定。
すると、広い範囲の割れ目でも綺麗に接続できます。
プラリペアは普通の接着剤や金継ぎみたいに…
割れ目部分にだけ処理を入れるのではなく、
割れ目の周りを盛る感じで、
接着範囲の周囲を使って固める感じになります。
「金継ぎ」みたいには、ならないので諦めましょう。
(元をV字に削った平面ならギリいけるかも…?)
以上が、ふりかけ法の解説です。
接着後は仕上げとして削る
プラリペアは硬化するとかなり固いです。
良くも悪くも小さな出っ張りが凶器になります。
そこで、最低限でいいので…
ヤスリで削って形を整える必要があります。
こんな感じのルーター+ヤスリを使うのも手。
削ると白くなりますが…
ウェットティッシュなどで拭くと、綺麗になります。
見た目はボコボコですが…
手触りは、なめらかになりました。
これで、接着が完了。
以上が、プラリペアの使い方です。
上手く接着するコツ
コツは「カタマリ」を作る事を意識するです。
↓接着剤のような感じで使おうとすると… 引っ付きません。
一般的な接着剤とプラリペアは全く別の素材と考えてください。
接着剤的な常識が通じないところがあります。
カタマリが小さいと、化学反応を引き起こす材料が足りず、プラスチックが溶けないようです。
なので、カタマリをつくるをつくるコツとして…
説明書では「V字」に削るが紹介されてます。
V字に削ると、カタマリが増えて接着力が上がります。
他にも、大量の液と粉を使い「カタマリ」を作るのも有効です。
これは元の素材をV字に削れない時に役立ちます。
今回の部品は、裏に電子回路が入っていたので…
間違って回路を削らないように「V字」削りはしませんでした。
大量の液と粉を使うと、物体表面に「カタマリ」ができます。
これを使って接続してる形になります。
今回の修理もこの方法で接続しました。
そして「接着面が広範囲+ボコボコ」になるのは… 仕方ないです。
以上が、上手に接着するコツです。
接着強度を上げる方法
接着強度を上げる方法は下記の3つ。
・V字に削る
・針金を通す(真鍮線)
・ガラスシートを乗せる
この3つを見ていきます。
V字に削る
これは、先ほども解説しましたが…
プラリペアはカタマリが小さいと接続が上手くいきません。
そこで、接続箇所をV字に削ると、カタマリが増えて接着力が上がりす。
↓可能であれば、説明書のように綺麗に削りってから使います。
これで接着強度が上がります。
普通の接着剤と違って…
2つの形が元の状態から “遠い” ほど接着力が上がります。
以上が、V字に削るの解説です。
針金を通す(真鍮線)
これは、接続するパーツが “太い” 時に有効です。
まず、可能であれば「V字」に削ります。
そして、元のパーツにドリルなどで穴をあけます。
そこに真鍮線などを通します。
そして、真鍮線ごとプラリペアで溶接します。
これで強度が上がります。
V字に削れない場合は、普通に穴をあけるだけでOK。
この状態で「表面」を盛って接続。
これで強度が上がります。
これは、フィギュアやプラモデル界隈で使われるテクニックのようです。
↓こちらの方などが、このテクニックを使ってます。
以上が、針金を通す(真鍮線)の解説です。
ガラスシートを乗せる
プラリペアを出してる会社は、補強用のガラスシートという部品を売ってます。
↓これは「ガラスクロス」や「ガラス繊維」と呼ばれたりもします。
メルカリでも売られてます。
これを片面 or 両面に乗せます。
そして、このガラスシートごとプラリペアで接着します。
すると強度が上がります。
今回のContact Sheetの修理も…
このガラスシートを使った方が良かったです。
接着剤みたいに綺麗に接続 → 金色で接着箇所を塗れば…
「金継ぎ」みたいになると思ってた時期もありました。
以上が、ガラスシートを乗せるの解説です。
僕の考えた最強の接着法
というわけで、この3つの方法を組み合わせた方法を紹介して締めます。
まず、V字に削ります。
そして、穴をあけて真鍮線を通します。
そして、真鍮線を固めるためにプラリペアで少しだけ溶接。
その上からガラスシートを乗せます。
そして、ガラスシートごと表面を盛って再度溶接。
たぶん、これで最強の強度になるとおもいます。
以上が、僕の考えた最強の接着法です。
その他の活用方法
プラリペアは割れた部分を接続する以外の使い方もできます。
具体的には下記の2つ。
・ネジ穴を修復する(ネジ山)
・欠けて無くなったパーツをコピペする
この2つを見ていきます。
ネジ穴を修復する(ネジ山)
「ネジが金属」+「ネジ穴がプラスチック」の場合を想定して進めます。
プラスチックネジ穴は、こんな感じで削れます。
そしてある程度まで行くと、ネジとして使いモノにならなくなります。
プラリペアを使えば、このネジ穴の「ネジ山」を修復できます。
↓ネジ山とはこの部分。
修復できるのは、こちらのネジ山なので注意してください。
金属のネジ側は、工夫すればできると思いますが…
今回はできないモノとして進めます。
ネジ穴の修理は、まずネジ穴を大きめに削る事から始まります。
円形のヤスリやドリルで穴を広げます。
そして、金属のネジ側にCRCオイルなどを塗ります。
これで、ネジがプラリペアで引っ付かないようにします。
CRCオイルは「呉5-56」あたりが有名。
楽天の方の商品ページを見ると…
ちゃんと「CRC」と書かれてます。
呉工業 呉 CRC−556増量缶 320ml+64ml=384ml ×20本セット
//ーーーー
そしたらプラリペアを穴に流します。
そして、CRCオイルを塗ったネジを差し込み。
そして、固まったらネジを外します。
CRCオイルの効果で、ネジは引っ付かずに綺麗に取れます。
そして残った所を見ると、ネジ穴が修復されたことが分かります。
↓他の方の例ですが… 動画版はこちら。
以上が、ネジ穴(ネジ山)修復の方法です。
欠けて無くなったパーツをコピペする
プラリペアは「型取り」で欠けて無くなったパーツをコピー&ペーストできます。
↓こちらのようなプラスチックがあったとします。
そして、左上が欠けました。
重要なのは、コピー元となるパーツが残ってる事です。
これが無いとこの方法は使えないので注意。
大丈夫そうでしたら「型取りくん」を用意します。
この「型取りくん」は、お湯で熱すると溶けて柔らかくなります。
この、溶けた状態の「型取りくん」をコピペ元の正常なパーツに貼ります。
しばらくすると「型取りくん」が冷えて固まります。
これで、その形をコピーするための “型” が完成します。
そしたら「型取りくん」で作った “型” を配置します。
そこに、プラリペアを流し込みます。
プラリペアが固まったら、型を外します。
これで、欠けて無くなった部分をプラリペアで修理できます。
ちなみに「型取りくん」は温めると再利用できるらしいです。
↓具体的な作例はこちらの方が解説してます。
以上が、欠けて無くなったパーツをコピペするの解説です。
プラリペアのデメリット/注意点
プラリペアのデメリットは下記。
・液がかなり臭い
・液が危険物扱い(毒性あり)
・接着が早い
・接続するのに気温が要る
とにかく液が臭いです。
裏側を見て成分を確認。
【粉】
・アクリル樹脂
【液】
・アクリル酸メチル
・アクリル酸エステル
アクリル樹脂の方はまだ普通ぐらいのモノですが…
液の方が危ないです。
粉のアクリル樹脂は有害性が低いとは…
好んで粉を吸ったり、焼いて溶かした空気を吸ったら有害だと思います。
【液の危険性】
・粉や蒸気を吸う、触るなどの害が出る
→ 皮膚やアレルギー反応を可能性がある
→ 目や重大な損傷を起こす可能性がある
→ 呼吸器系への刺激の恐れ
→ 肝臓の障害の恐れ
・引火性の高い液体と蒸気が出る
・長時間使うと、より害が出る
→ 呼吸器の障害
・発がんのおそれ
・水生生物に毒性を与える
詳細(アクリル酸エチル / アクリル酸)
とはいえ、個人で扱えるレベルなので有害性はあるけど低い方だと思います。
真に危険なモノは「危険物取扱者試験」を受けないと扱えないので…
なので注意点は必ず「換気が効いた所」で使う事です。
あと、効果条件が “温度” っぽいので…。
夏場は硬化が早すぎて、冬はもしかしたら時間がかかるのかな…?
と思ったりしてます。(未検証)
私は夏場(9月前半)頃に使える事を確認したので…
問題は冬場ですが、ダメならドライヤーを当てれば接着すると思います。
あと、プラリペアはアクリル樹脂系のモノなので…
アクリル樹脂的な弱みも加わります。
アクリル樹脂という弱み
プラリペアはアクリル樹脂です。
これは使いやすいですが、劣化が早いという特性があります。
【アクリル樹脂の弱み】
・高温に弱い(60度以上)
・光に弱い(紫外線)
・強度が弱い(普通のプラスチックぐらい)
・割れや傷が起こりやすい
・水、金属、有機溶剤で科学的な変化が起こる可能性がある
このような環境だと、劣化する可能性があります。
逆に言うと、このような環境を避ければ寿命を延ばせます。
…これを言い出すと普通の “レジン” もアクリル系硬化樹脂なので
この世の全てのハンドメイド系樹脂が弱いという問題に繋がりますよね。
なので、もし持ってるなら「エポキシレジン(樹脂)」で補強した方が良いです。
これは、アクリル樹脂とは別系の樹脂なので「高い接着力」と「薬剤耐性」を持ちます。
というより、最初からこれを使って接着させても良いかもしれません。
(未検証なので上手く接続できるかは不明)
ただ、エポキシレジン氏
液Aと液Bを混ぜて使うという非常にめんどくさい仕様な上に
硬化時間が1~2日かかるという…
一般人が手を出すにはハードルが高すぎる仕様になってます。
(プラリペアのアクリル樹脂溶接がやっぱり無難…)
使って見た感想 / レビュー
使って見た感想、かなりコツが要る接着剤でした。
ただ「盛ってカタマリを作る」を意識すれば、扱るようになりました。
接着強度は思ってる以上に硬くなりました。
今の所は満足してます。
ただ、換気が不十分だったり、私が科学薬品系に弱いところもありますが…
使ってから半日ぐらい頭が痛かったり、気持ち悪くなったりしてました。
たぶん、私の化学薬品耐性が弱いだけです。
高校時代にみんなが普通に使ってる接着剤(有機溶剤入り)で…
1人だけ気持ち悪くなってたりしました。
なので、科学薬品系に弱い方はちょっと苦労すると思います。
マスクやゴーグル、使い捨て手袋などをして屋外で使う事をおすすめします。
あと、臭いです。
半日ぐらい匂いが頭の中に残る感じがありました。
いかにも化学薬品的な臭いがします。
私の中ではかなり臭い方と思いました。
この臭いと毒性という問題がありますが…
科学の力でプラスチックを溶接するという点では、かなり良いモノだっと思います。
アクリル樹脂を使ってるので、強度や劣化の問題がありますが…
これぐらいの軽作業なら、また折れた時に接続し直せばいいかなと思いました。
まとめ
プラリペアでプラスチックを接続する方法と、レビューを紹介しました。
・プラリペアは科学の力でプラスチックを溶かして接続する接着剤
・カラーはクリアがおすすめ(母材が溶けるのでプラスチックの色が付く)
・ニードル法は本当に “点” にしか使えない
・基本はふりかけ法で “盛る” ようにして使う
・コツは「カタマリ」を作る事の意識
・接続箇所をV字に削ると強度が上がる
・接続箇所に穴をあけて真鍮線を入れると強度が上がる
・接続箇所をガラスシートで覆って、シートごと接着すると強度が上がる
・他にも、ネジ穴や型取りによるパーツの複製が行える
・液の成分が有害なので注意
・アクリル樹脂的な特徴、熱や光に弱く劣化しやすいデメリットもある
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