はじめに
今回はDAWを使ってリズムと小節の考え方を紹介します。
ソフトはAbleton Live10 Standardを使います。
リズムの基本
基本的な用語は下記。
・拍子:1、1.2、1.3、1.4
・小節:1~1.4が2に切り替わる所
・拍:1小節内でどれだけ入力を入れるか
・〇〇ビート:1小節内で刻んだ拍の回数
拍子の分割(÷2,ウラ打ち)
拍子はさらに細かく分割できます。(この分割をサブディビジョンといいます)
÷2で割ったところをウラ拍と言います。
ここに音を入れるとウラ打ちが完成。
さらに、アクセントに入れ方でアップとダウンビートに分かれます。
ダウンビート:オモテ拍の強調
アップビート:ウラ拍の強調
音の強弱はAlt+クリック → 上下にドラッグで作れます。
また、強弱以外でも楽器の違いで作れます。
÷2以外の分割(シャッフル,スイング)
1拍を÷2以外で分けるとシャッフル,スイング,跳ねるリズム,と呼ばれます。
よく見るものは1拍 → 1:2の分割。
これをAbletonで設定する方法を紹介します。
Pack → Swing and Groove → Swingを開きます。
左下の2重波線を選択。
出てきたUIの所にSwing8-75.agrをドラッグ&ドロップ。
グローバルアマウントを100%に設定。
÷2の状態のMIDIを入力。
GrooveをSwing8-75に設定。
Commitを選択。
すると2:1の分割になります。
Swing 8-75を100%で割り当てるのが最も÷3に近い形です。
少し隙間ができるのは仕方ないです。
また、他のSwing素材を割り当てると分割幅を変えれます。
数字が小さいほど分割幅の変化が少ないです。
また、この方法は全体が変わってしまうので注意してください。
部分だけ割り当てたい場合は別の所で分割を作ってコピペで貼り付けてください。。
強拍,中強拍,弱拍
1小節の拍は主にこの3つに分けて呼ぶことができます。
強拍、中強拍、弱拍。
音数が制限されたときに、どこで音を鳴らすかを考えた時の概念と名前です。
(=リズムの要点とも考えられます)
バックビート
「強拍、中強拍、弱拍」はあくまで呼び名です。
弱拍を強調するバックビートという奏法があり、実際の強弱とは関係ないです。
下記の2つは別物なので注意。
・バックビート=弱拍を強調(1拍を分割していない)
・アップビート=ウラ拍を強調(1拍を分割している)
バックビートとアップビートの違いや両立を1つの音で表現するのは大変。
なので、実際のリズム作成では複数の楽器でこれを表現します。
小節と展開
Abletonユーザーの方はMIDI入力画面のLengthを4にします。
ここにリズムを打ち込みます。
等間隔で均一に並べると面白みが無いので変化をつけます。
※なぜ、不均一が好まれるかについては、人は複雑な規則性を見ると法則を見出そうとする。
没頭する → フロー状態に入る → 幸福関係の脳内物質が出るからと考えられます。
変化のつけ方はこのように考えられます。
・4小節を1セット
・その中から基本 → 変化 → 補助 → 展開という流れで進む
・変化は基本を少しアレンジ
・補助は展開の変化を助ける
・展開で大きく曲を変える
・展開しないという展開もある → その場合8小節目に展開が来る
これは、このあたりの用語が無かったので私が作った言葉です。
他で言うと伝わらないので注意。
この考え方を元にすると大体の曲の流れを理解できます。
3と4拍子
画面左上に4/4という表記があります。
これが、拍子を表す記号です。
左側の4を見ます。
この左側の「4/」が表紙の数です。
4の場合は4拍子。
3/4にすると3拍子になります。
Abletonの場合、Tabキーを押してUIを切り替え。
3/4の状態でドラッグ&ドロップで1小節の長さの譜面を作成。
Signatureを3/4に変更。
Lengthを6にします。
すると3/4を入力する準備ができます。
この3/4という表記は「1小節」に「4分音符」が「3つ」という意味です。
割り算では無いので注意。
またnはどんな数字でも。
右側は1,2,4,8,16が入れれます。
右側の数字は下記の音符に対応しています。
・1 → 全音符
・2 → 2分音符
・4 → 4分音符
・8 → 8分音符
・16 → 16分音符
なので、自由な数字を入れれません。
音符の種類
音符は下記のような種類があります。
また、32分音符や64分音符もアリとするところもあります。
この音符の長さは4/4拍子を基準に決まります。
4/4拍子の1小節=全音符。
÷2を繰り返して2,4,8,16。
これが「4/4」の右側の数字の意味です。
3/4拍子の場合でも、4/4を基準にした音符の長さを使います。
※全体の長さを変える考え方は間違いです。
4/8の場合は1小節に8分音符が4つ入ると考えます。
この8分音符の長さも4/4が基準で決まります。
一見4分音符を4回入れてるように見えます。
が、4/8なので8分音符を4回入れてます。(C5の所が4分音符)
また、グリッドが増え32分音符も入れれるようになってます。
3連符
リズムには “T” と書かれたモノがあります。
これは「三連符」と呼ばれるものです。(「Triplets」の略)
これは1/4が元の場合…
1/4Tは、2拍を÷3で区切った形になります。
よく説明されてる1拍を÷3したモノは…
「1/4」 → 「1/8T」のモノになります。
ちなみに、Abletonの場合…
Ctrl+3キーで「T」の文字が入ります。(三連符が有効化)
Ctrl+1 / 2キーで「1/n」値が上下します。
↓リズム的にはこちらが分かりやすいです。
以上が、3連符の解説です。
変拍子
変拍子とは3/4と4/4以外の拍子の事です。
例えば7/8。
7/8は8分音符が7回で1小節と数えます。
7/8でも8分音符長さは、4/4が元になります。
3/4拍子は1小節に4分音符が3つ。
6/8拍子は1小節に8分音符が6つ。
6/8変拍子
6/8はいろんなところで使わます。
そして、初心者に多くのぎもんを投げかけます。
たとえば、数学的に見ると3/4と6/8は同じです。
ただ、音楽的に見るとアクセントの位置という明確な違いがあります。
この違いはAbletonの場合メトロノームをオンにする → 再生ボタンを押すと分かります。
再生中に3/4と6/8を切り替えてください。
すると、アクセントの違いが生まれます。
・3/4 → 3回に1回
・6/8 → 6回に1回
これが違いです。
3/4拍子に8分音符を6回打つと入力だけは形は同じになります。
が、アクセントの違いが出るので別物と解釈できます。
次で、この”アクセント”について掘り下げます。
アクセント
リズムは基本1,2,3,4の4つの単位で分けられます。
この初めの音がアクセントのポイント(強拍)です。
もちろん、例外もありますが、まず初めはこの4つと考えてください。
3/4と6/8拍子のアクセント
6/8拍子に8分音符を6回入れた場合、3が2回と数えます。
なのでアクセントは2か所。
3/4拍子に8分音符を6回入れた場合、2が3回と数えます。
なのでアクセントは3か所。
※1拍を2で分けたウラ打ちの1つと考えるからです。
3/4は3拍子、6/8は2拍子のようなアクセント構成になります。
これが3/4と6/8の違いです。
では、メトロノームの時の6回に1回のアクセントは何だったのか?
これは、1が6回連続で続いたと形と考えられます。
同じ6/8拍子でも分け方でアクセントが異なります。
この違いを手元で体感するには「Smart Metronome & Tuner」というアプリがおすすめ。
左下で拍子を選択。
連符の形を選んで再生すると違いが分かります。
3/4と6/8の違いをまとめると下記のようになります。
・3/4拍子 = 強拍 → 弱拍 → 弱拍
・6/8拍子 = 強拍 → 弱拍 → 弱拍 → 中強拍 → 弱拍 → 弱拍
2/2と4/4拍子のアクセント
2/2と4/4も同様に区切り方が変わり、アクセントの回数が変わります。
・2/2拍子 = 強拍 → 弱拍
・4/4拍子 = 強拍 → 弱拍 → 中強拍 → 弱拍(2+2)
数学だと思って約分しないように注意。
複合拍子(6/8の性質)
6/8拍子は「2拍子」と「3拍子」2つの性質があります。
このような複数の拍子の枠組みがある物を複合拍子と言います。
6/8は3拍子の優雅さ+聴きやすい2拍子の魅力が合わせった変拍子です。
なので、6/8は音楽では使われることが多いです。
6/8以外の変拍子
リズムの基礎は1,2,3,4。
この組み合わせ方次第で、様々な拍子を作れます。
6/8以外の拍子の作り方はリズムの基本の足し算。
ただ、過不足感や違和感が出るので使い方には注意。
・5/4拍子 → 1+1+1+1+1、2+3、3+2、4+1、1+4、3+1+1、など。
・7/8拍子 → 3+4、3+2+2、など。
・11/8拍子 → 3+3+3+2、4+4+3、など。
曲の途中で拍子を変える(可変拍子)
曲の途中で拍子を変える操作を可変拍子と言います。
これはAbletonでは横長状態で拍子を変えたい場所を選択。(アレジメントビュー)
作成 → 拍子記号を挿入で設定できます。
言葉の使い分けに注意してください。
・可変拍子 = 曲の途中で拍子を変える事
・変拍子 = 3/4と4/4以外の拍子。
シンコペーション/アンティシペーション
リズムパターンを前後に伸ばして、次のリズムに影響を当たる方法があります。
・前の音を伸ばす場合はシンコペーション
・後ろの音を早める場合はアンティシぺ―ション
より複雑な規則性が生まれ魅力的になります。
また、6/8以外の変拍子の違和感軽減にも役立ちます。
2小節で1つのリズムを作る(クラーベ)
リズムには特定のパターンがあります。
特に注目されるラテン系にルーツがあるリズム。
(アフロキューバンの「クラーベ」「カスカラ」「トレーシロ」など)
この特徴が2小節で1つのリズムを作るという考え方です。
4/4のラテン系リズム
4/4の場合クラーベは2つに分けられます。
・ソンクラーベ
・ルンバクラーベ
この2つが音の鳴らし方で「3-2」と「2-3」の違いが生まれます。
4/4の場合、カスカラはこのパターンです。
こちらも3-2と2-3の違いがあります。
トレーシロは3の部分だけを繰り返したもの。
ノリが良くEDMでよく使われます。
3が緊張 → 2が緩和。
これを繰り返すという考え方ができます。
トレーシロの場合は常に緊張状態でノリが良くなります。
6/8のクラーベ
6/8クラーベが「4/4ラテン系リズム」の元ネタです。
下図のような変化を辿りました。
また、6/8でそのまま使えるリズムパターンは下記。
以上がラテン系リズムパターンの一例です。
クラーベを展開で使う時の注意
クラーベでは3 → 2 → 3 → 2の順でしか繰り返さないという特徴があります。
3 → 2 → 2はNG。
なので、3 → 2で始め、サビで2 → 3に変えたい場合は1小節余分に取ります。
=奇数で展開することになります。
なので、ラテン系音楽では奇数展開が多いです。
リズムの応用
これまで学んだ考え方は下記。
・2小節でリズムを1セットと考える
・3=緊張、2=緩和のパターンを作る
これを応用すると自分でリズムを作ることができます。
これで、6/8以外の変拍子などに対応させることができます。
ポリリズム
ポリリズム=2つ以上の異なるリズムを合わせる事。
横長状態のAbletonで、2つのSignatureを用意すると表現できます。
拍子がズレてかなり複雑な規則性が生まれます。
展開点の作り方は下記の3つ。
・リズムが重なった小節で展開
・複数の拍子を組み合わせて展開
・ズレを気にせず展開
5/4と4/4の場合、5小節目で重なります。
奇数ですが、ここで気にせず展開点を作ることができます。
4/4を4回繰り返す=5/4を2回+3/4を2回と考えれます。
これで、展開点に合わせることができます。
4/5と4/4のずれを気にせず展開します。
これで展開点を作れます。
ポリリズムの展開はこの方法に落ち着きます。
おまけ:点符
若干リズムと内容が変わりますが、紛らわしいモノに「点符」があります。
これは元の音符の長さを「1.5」倍する処理です。
「.」や「Dot」のような表記があれば、それは点符です。
↓こちらの音符の長さを1.5倍にして考えてください。
ちなみに4/4の点符の場合…
1.5倍になるので無理やり表すなら「6/4」が最も近い形になります。
↓はAbletonで「6/4」を「1/8」表示したモノ。
以上が、点符です。
まとめ
今回はリズムと小節の理論について解説しました。
PCで見てる方は、右側の目次を使って振り返ってください。
また、このリズム理論を表現するドラムについてはこちらで解説。
ぜひ、こちらもご覧ください。
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