【Ableton】DAWで学ぶドラムの理論

音楽
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はじめに

今回はDAWを使ってリズムをドラムで表現する方法を紹介します。
ソフトはAbleton Live10 Standardを使います。

こちらの「リズムと小節理論」の続きとして紹介します。
単体でも読めますが…、先に読んでから進めてください。
(拍と小節、ウラ打ち、アップ・ダウン・バックビートのなどの説明はこちら
にあります

ドラムの基礎

ドラム=リズムを表現するための代表的な楽器です。

Abletonの場合ドラム → 606 Core Kit.adgをMIDIクリップに設定。
これで読み込めます。

基本の3楽器

ドラムの基礎は「ハイハット、スネア、キック」の3つです。

この3つを使ってリズムを表現します。

ドラムのリズムパターン

ドラムを使ったリズムパターンは星の数ほどあります。

これの読み込み方法は2つ。
・既存の素材から設定
・既存のドラム楽譜を見て設定

オリジナルを作るにしても、
土台に既存のリズムパターンを入れて改造した方が綺麗にできます。

ドラムキットから読み込み

MT Power DrumKit2という無料のVSTプラグインがあります。
こちらをDLして読み込み。(私はVST 2の方を読み込みました。)

Download Full Version of MT Power Drum Kit for free

あなたのPCで設定されたVSTPluginsフォルダに.dllと.pdkを入れます。

1,MT Power DrumKit2を開きます。
2,画面下部のGROOVESを選択
3,再生ボタンで再生状態に変更
4,STYLEで好きな物を選択
5,中央のGROOVESから好きなドラム素材を再生して確認

気に入ったものをMIDIにドラッグ&ドロップ。
これで強弱入りのリズムパターンが使えます。

以上がドラムキットからの読み込みです。

ドラム楽譜から読み込み

ネットで「ドラム リズムパターン」を検索。
すると、このような楽譜が出てきます。

Youtubeで検索すると動画という音付きで確認できます。
この中から気に入ったものを使います。

ドラム楽譜の読み方

ドラム楽譜の基本はこちら。
「.」がつくと、1.5倍の長さになるので注意。

DAWに翻訳するとこのようになります。

ここではDAWユーザー向けに解説するので”〇〇マス”という言葉を使います。
・4マス=4分音符(空白の場合は4分休符)
・2マス=8分音符(空白の場合は8分休符)
・1マス=16分音符(空白の場合は16分休符)

2マス以下の旗が付いた物をならべる時は、旗を繋げて書かれます。
4マスの場合は旗が無いのでそのまま書かれます。

ドラム楽譜は五線譜で、”鳴らす楽器”を指定してます。

>はアクセント記号。
強めに打ったりします。

2マスの旗に接続された、ハイハットの記号は一見4マスでも、実際は2マスです。

旗の関係なのか、2マスのハイハットの下に4マスのスネアは表現できませんでした。
※Muse Score 3という楽譜作成ソフトでの挙動です。

ハイハットを4マスにした場合、スネア4マスは綺麗に繋がります。
ハイハット4マス、スネア2マスはMuse Score 3では表現できませんでした。

なので、つながる場合、ハイハットとスネアの長さは共通と考えます。
Muse Score 3で表現できないので、使えないモノと考えられます。

このような情報を踏まえると、ドラム楽譜はこのように翻訳されます。

これでリズムパターンが作成できます。

シャッフルビート

シャッフルビートの操作は下記。
・8ビートのハイハットを作る
・16ビートの位置にスネアを入れる
・疑似的に16ビートに聞こえる音を作る

これがシャッフルビートです。

シャッフルビートの楽譜

シャッフルビートの楽譜を理解するためのおさらい。
・4マスの音符は上が繋がりません
・2マスの音符は上が1本線で繋がります
・1マスの音符は上が2本線で繋がります

・4マスは1小節で4回叩くので4ビート
・2マスは1小節で8回叩くので8ビート
・1マスは1小節で16回叩くので16ビート

1本線と2本線が両立することがあります。
これは2マスのハイハットの繰り返しに1マスのスネアを入れると起こります。

1本線と2本線の両立で表現されるのが、シャッフルビートの楽譜です。
このような形になります。

倍テン・半テン

ハイハットは基本、ビート数を表します。(8ビートや16ビートなど)
そして、スネアはキックの入れる位置は自由です。(アクセントを表現するモノなので)

なので、スネアとキックは長さを2倍や半分間隔にできます。
これを行うと、感じるテンポが倍化or半減します。
これが倍テン・半テンです。

Abletonの場合はこの方法で設定できます
1,ハイハット以外の譜面を選択
2,左上の:2 or *2をクリック
3,譜面を調整

曲の展開に緩急をつける際に使われます。

実際のドラムセットについて

基本は「ハイハット、スネア、キック」3つです。
が、実際のドラムやMIDIの入力はもっと種類があります。

この考え方、使い分けについて解説します。

ドラムセットの考え方

ドラムセットの基本の3楽器はここにあります。

裏から見るとこのようなイメージ。
バスドラムは足で操作するのでキックと呼ばれます。

さらに、数種類の「シンバル」と「タム」が追加されます。
これは演奏に色どりを加えるものです。

これがドラムセットです。

タムとシンバルについて

タムとシンバルはドラムセットによって数が変わります。

タムについて
・タムは基本3つ用意される
・3つの種類はハイタム、ロータム、フロアタム
・ハイタム > ロータム > フロアタム の順で音が高い
・リズムの変わり目の前に叩いて変化をつける

シンバルについて
・シンバルは基本2つ
・2つの種類はライドシンバル、クラッシュシンバル
・このドラムセットでは、さらにチャイナシンバルが用意されている
・ライド、チャイナシンバルはよく目立つので曲の大きな変わり目に使われる
・クラッシュシンバルは少し目立たない、なので曲のアクセントに使われる

また、タムとシンバルは楽譜で表現するとこの位置になります。

この位置の理解は、次紹介するフィルインという概念に必要になります。

フィルイン

フィルインとはリズムパターンの最後、楽曲の繋ぎ目、展開点に変化をつける演奏技法です。
言い換えると、タムとシンバルの使い道です。

検索すれば無限にリズムパターンが出てきます。
楽譜でタムとシンバルの位置が分かればだいたい読めます。

また、MT Power DrumKit 2のプリセットにフィルインパターンがあります。

こちらは、MIDIにドラッグ&ドロップして割り当ててください。

基本はリズムパターンを繰り返し。
展開点の1つ前の小節にフィルインに置き換えの形になります。

大きく変化しない場合は不必要です。

リズム理論で紹介した「基本 → 変化 → 補助 → 展開節」の考え方を元にすると…

・4小節目の展開にフィルインは不要(展開しないという展開)
・8小節目の展開にフィルインを入れる(展開の大きな変化を表現)

演奏を想定したDAW打ち込み

ドラムは出せる音は基本3音です。(猛者の方は脳の処理能力を上げて、ハイハットペダルで4音出しますが…)
そして、間隔が短い物は交互に叩いて表現します。

1マスの16分音符はかなり早いです。
なので、R(右手)と L(左手)で交互に叩きます。

NGな入力方法

NGな入力方法は下記の2つ。
・16分音符でのスネアとハイハットの同時打ち込み
・16分音符終わりの両手ハイハット

基本的には手が足りなくなるのでNG。
(猛者の方は乗り越えてきますが…)

16分音符でのスネアとハイハットの同時打ち込み
ハイハットを消すと解決します。
(DAWの場合、ここがリアルにするポイント)

16分音符終わりの両手ハイハット
同様に手が足りなくなります。
(猛者の方は乗り越えてきますが…)

ハイハットを1音にすると解決します。
(DAWの場合、ここがリアルにするポイント)

このように、音数を人間が持つ性能の限界で考えると、
リアルなDAW打ち込みができます。

ただ、DAWらしさで考えるとこのような打ち込みもアリかもしれません。
曲に合わせて取捨選択してください。

3種類ハイハットの鳴らし方

ハイハットの鳴らし方は3種類あります。
・オープンハイハット
・クローズハイハット
・ハイハットペダル

ハイハットのペダルを踏むと閉じた状態になります。

開いた状態で叩くのが「オープンハイハット」
閉じた状態で叩くのが「クローズハイハット」

楽譜ではここで表現されます。

さらに、ペダルを強く踏み込みで、音を鳴らす「ハイハットペダル」があります。
楽譜ではここで表現されます。

この動画を見ると、この動作がイメージしやすいです。

クローズとペダルハイハットがこれまで通りのハイハットの役割。
オープンハイハットが少し弱いシンバル的な役割になります。

ドラムスティクの叩く位置

ドラムスティクの叩く位置で音のなり方が変わります。
これの影響を顕著に受けるのがハイハットです。

叩き方でハイハットに触れる面積が変わります。
そして、音が変わります。

この触れる面積の音の違いは、ディケイという音が弱まる時間の長さで表現できます。

ディケイで叩く位置を表現

Abletpmこのようなハイハットを打ち込んだ状態にします。
そして、上の606 Core Kitの所を選択。

ドラムのプレビューを表示します。
ここでハイハットの音源を選択。

次に、Controlsを選択。

すると、音のなり方を操作する画面が出てきます。
この左上を操作します。

すると、ディケイが表現できます。

叩き方違いを表現します。
接地面の長さ=ディケイの長さ。
再生しながら音を聴くと分かりやすいと思います。

Abletonで叩き分けを表現する方法

ハイハット音源右下の回転矢印ボタンをクリック。

すると、ハイハット音源がある場所に飛べます。
ここから好きな音源を選択。

Alt+中ホイールを上に操作。
空白の所に選んだハイハット音源をドラッグ&ドロップ。
そして、読み込んだ音源を選択。

音の操作画面から、Classicに変更。

Controlsを選択。
左下のAmplitubeをクリックして有効化。

これで、ディケイを設定。

ドラム音源をCtrl+ドラッグで複製。

それぞれの音源にディケイの違いを作ります。

Ctrl+Rで名前を分かりやすいものに変更。

これで3種類の叩き方を表現できます。

このように打ち込めば、16や8ビートにより細かなニュアンスが作れます。

キック以外はドラムスティックで叩くので、この考え方が応用できます。

しかし、ハイハット以外は叩く面が平たいという特徴があります。
ハイハットなので、より違いが生まれにくいです。

キックとスネアはディケイよりも、リリースが重要になります。
実際のドラムで表現できるか分かりませんが、DAWではよくリリースに調節が入ってます。

スネアとキックの叩き方

キックとスネアはリリースの操作が重要です。

リリースとは音の終了部分。

この2つが基本的な考え方です
・キックのリリースは短くして、より音を刻んでる感を上げる
・スネアのリリースは長くして、スネアの響きを自然に見せる

ただし、ジャンルによっては逆もあります。
なので作りたいジャンルを学び、音を良く聞いて合わせてください。

ドラムをたたく位置

ドラム類全般は叩く位置で音が変わります。
ソフトでは難しいですが、現物を持ってる人は叩く位置にもこだわります。

DAWの場合はこの表現は難しいので音源を変えたりエフェクトを入れて変化を作ります。

より自由な音を出す

ドラムパックを使うと自分で音を入れることができます。
FX Hitあたりから既存のキック、スネア、ハイハットを差し替えると面白い表現になります。

ここに、どのような音を入れると良いかについて紹介する為、ドラムの音程について解説します。

ドラムの音程について

ドラムに音程が無い理由はこの2つ。
・ドラムの音は操音。音程を感じにくく、音の高さが特定できない
(非整数次倍音)
・短い音だと噪音や不協和音でも不快に感じない
(4分音符以下の長さ)

ただし、音の高い低いという概念はあります。
・ハイハット → 高い音
・スネア → 低~中ぐらいの音
・キック → 低い音
・タム3種類 → 低~中で3つのタムに音の高さの違いが出るように
・シンバル類 → 高い音

なので、チューニングはタム類だけ、音の高さに気を使います。
あとは、自分が心地よい音になるように調節する形になります。
言ってしまえば細かな所は「自由」です。

ドラム音の置き換え

「音の高さが似ている」+「短い音」+「操音で音程を感じさせない音」
この3つの特徴があれば別の音と置き換えできます。

置き換え方でジャンルが表現できます。
Fure base 、Jersey Clubなど、最近のEDM系が置き換えが顕著なジャンルです。

ドラムの鳴らし方とジャンル

これまで紹介したドラムの鳴らし方などは「ジャンル」を表すのに必要になります。
ジャンルによって強弱のつけ方や、ドラム音を効果音に置き換えるといった作法が変わります。

貴方が作りたいジャンルを一度調べて学び、
そのジャンルの特徴と言われる構成を真似てください。

まとめ

今回はドラムの理論について解説しました。
PCで見てる方は、右側の目次を使って振り返ってください。

また、グルーブやコードについてはこちらで解説。

ぜひ、こちらもご覧ください。

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