はじめに
今回はシンセサイザーの歴史についてまとめます。
私は、専門家では無いですが…
ビンテージシンセサイザー選びのためにまとめました。
話半分で聞きながら、自分に合ったシンセを見つけてください。
シンセが生まれる前 (~1930年)
~1930年までを表す言葉は下記。
「実験音楽、試行錯誤、真空管の歴史」
シンセが生まれる以前に、様々な試行錯誤が行われていました。
たとえば、1896年に登場したテルハーモニウム(オルガンの原型)。
ほかには、1920頃に登場したテルミン。
1928年にテルミンを進化させた「オンド・マルトノ」などが登場
テルミンは、今でもこのような形で売られています。
また、VSTプラグインもあります。
オンド・マルトノの再現や影響を受けた音源は、
無料だとSPITFIRE AUDIOから「ONDES MUSICALES」
有料ではSONICCOUTURE社から「ONDES」などが出ています。
(ポリフォニック化などの現代に合わせた改造済み)
このように、~1930年代は音や奏法が試行錯誤されてた時代でした。
シンセの原型 (~1960年)
~1960年までを表す言葉は下記。
「仕組みの完成、録音機材、戦争とコンピューター、まだ真空管、まだ実験段階」
試行錯誤の末、1930年代には今のシンセサイザーの基本要素がほぼそろっていたと言われています。
たとえば、1940年代に登場した「Ondioline」というシンセの原型。
これは、真空管製の1オシレーター、1アンプで、鍵盤で操作する楽器。
ちなみに、これも無料でSpitfire Audio のLABSで使用可能。
「ELECTRONIC ANTIQUE」ライブラリーがそれです。
もう、ほぼシンセ。
そして、Spitfire AudioのLABS強くない…?!
他にも、1937年に発表された「 Novachord 」があります。
これが、世界最初に”市販された”シンセサイザーとされています。
今の主流である減算合成方式。
そして、163個の真空管で72鍵盤ポリフォニックという…
狂ってる(ほめ言葉)な楽器。
1960年代でポリフォニックは凄い。
KONTAKT PLAYER音源ではこちらのような製品があります。
何を一番最初のシンセとするのか。
それは、シンセの定義や考え方によって異なるので”コレ”とは言えません。
が、このあたりのシンセが、今のシンセの原型と言えます。
工学と円盤の発展
1930~1960年頃は工学と円盤の歴史でもあります。
要するに、レコードやテープのお話。
1930年代に登場した「Lichttonorgel」はこのような円盤に音を記録。
一方から光を照射、もう一方に受信機をつける。
円盤を動かして光のオン/オフの変化を得る → それを音に変換する機材。
Wikipediaより引用
他には、レコードやテープを物理的に切断して繋げるといった事が行われてました。
(ミュージック・コンクレート、テープ音楽、など)
当時はこのような録音系の技術がシンセサイザー的に使われようとしてました。
↓ミュージック・コンクレートの作例
今ではシンセとは離れたズレた技術になってますが…
DAWやサンプラーの原型にあたる「録音 → 編集 → 再生」関連の起源がここにあります。
コンピューター音楽の登場
コンピューターの進歩がよりシンセサイザーを発展させました。
これを知るために、まず戦争とコンピューターの歴史を見ていきます。
第二次世界大戦の中、軍用の暗号解読、弾道計算などの用途てコンピューターが発展しました。
◆戦争と大恐慌の歴史
・第一次世界大戦(1914~1918年)
・世界大恐慌(1929年~1930年)
・第二次世界大戦(1939~1945年)
◆初期のコンピューター
おそらく最初の電子計算機が1942年の「ENIAC」(出力が不安定で、未完のまま中断)
軍用に作られたPCが1943年の「Colossus」(暗号解読用、機密が多く、世に知られ無かった)
そして、1946年に最初の実用機「ENIAC」が登場。
これが、一般的に"最初の"コンピューターとして扱われています。(大砲の弾道計算用)
そして、戦後。
発展したコンピューターを使った実験的な音楽の試みがいくつも登場しました。
・1957年、コンピューターに作曲させた「イリアック組曲」が登場。
・1959年頃、パラメトロン計算機_PC-1で矩形波で「春の小川」や「からたちの花」を演奏。
・1957年、マックス・マシューズの「MUSIC-N」というプログラミング言語による音の生成。
…など
当時は主流だった、テープに記録 → 編集 → 再生のアプローチに飽き飽きされていたようです。
そこで、新しいアプローチが求められていました。
そんな中の1つとして、次のシンセサイザーの原型が登場します。
原始の本格的シンセサイザー(RCA markⅠ~Ⅱ)
1950年に”シンセサイザー”という名前を使った楽器が登場。
それが「RCA markⅠ~Ⅱサウンドシンセサイザー」です。
何百もの真空管を使って制作されたコンピューターによるシンセサイザー。
なので、大きさが「研究所の1室」分。
Wikipediaより引用
そして、構造は今のアナログシンセと構成がほぼ同じです。
・オシレーター
・ノイズ生成器
・フィルター
・エンベロープ
・アンプ
これらの要素が揃ってました。(詳細)
紙に穴を空ける形で、「MIDIトラック」のようなこともできたようです。
このように、コンピューターの登場で音作りの自由度は大きく上がりました。
ただRCA markⅠ~Ⅱは、扱いが困難すぎるのと、トランジスタの登場で普及せず消えていきました。
他にも、歴史の中で消えてしまったものが多数あると思います。
調べると何か出てくるかもしれません。
これらがシンセサイザーの原型です。
モジュラーシンセ方式 (~1970年)
1960年~1970年頃の歴史。
このあたりは基本的に単音しか出せない(モノフォニック)
モジュラーシンセ方式を表す言葉は下記。
「商業音楽へ進化、MoogとARP社、小型化、モノフォニック、真空管からトランジスタへ」
真空管からトランジスタへ
真空管やトランジスタは電流の流れをコントロールする部品。
誤解を恐れずに言うと、0と1を操作するスイッチの役割。
これが、コンピュータの回路に必須でした。
~1960年前までは、コンピューターなどの回路づくりは真空管が主流。
が、真空管は下記のようなデメリットがありました。
・短い寿命
・故障しやすい
・小型化できない
・高電力使用 …など。
このような課題が多く、普及はしませんでした。
そこで、変わる物の開発が進められてました。
それがトランジスタです。
トランジスタ自体、昔からありました。
が、普及したのは1960年代~
【トランジスタの歴史】
・真空管の代わりになる物の研究が進められる
・1920~1930年代頃、基礎になる研究が盛んにおこなわれる
・第二次世界大戦などで中断 → 戦争後再開
・1947年、点接触型トランジスタが登場(最初期のトランジスタ、動作がやや不安定)
・1948年、接合型トランジスタの登場(動作が安定した)
・1954年、シリコンを使用したトランジスタの登場(加工がしやすく、資源が豊富)
・~1960年、電界効果型やMOSトランジスタや集積回路(トランジスタ周辺の回路が小型化)
・1960年代、コストが下がり普及。主流な素材はシリコン。高い電圧に耐えるなどの用途によって素材や構造が変わる。テレビ、ラジオ、パソコンなどがトランジスタが使われる。
ーーーーー
このようなトランジスタなどを使った製品を、半導体、ソリッドステートなどと呼びます。
シンセサイザーだけでなく、今のあらゆる電子機器の土台になった技術です。
これらの安価、小型、安定しているトランジスタ登場。
これで、歴史が大きく進みました。
Moog Synthesizer シリーズ
先ほどの「RCA markⅠ~Ⅱ」は真空管製。
なので、扱いが難しく、高価で、非常に大きいシンセサイザーでした。
Wikipediaより引用
そこで、ロバート・モーグ氏がトランジスタで近い物を作ろうとしました。
そして、1960年代に登場したのが「Moog Synthesizer シリーズ」です。
Moog博士はシリコントランジスタを使ってオシレーターやアンプを開発。
それらを、改良や販売用に調整。
そして、Moog社として「Moog Synthesizer IIIc」を発表して販売。
YMOのライブで使われ、電子音楽は一気に実験音楽から “商業音楽” へと進化しました。
また持ち運びしやすくした「Moog Synthesizer IIIp」も登場。
3つのスーツケースにパーツを分けてを詰め込まれてます。
1970年代に、これらの改良版が、Moog「System55、35、15」などとして登場。
中にあるオシレーターなどの部品は単独で、〇〇960や〇〇901などと呼ばれます。
そして、総称として900シリーズと呼ばれています。(詳細)
多分、中の部品同じだけど、部品の積み方や組み方が違う。
そして、新発売で一部だけアップデートされる。
これらが積み重なり、こんな分かりにくい事になったと思われる。
再現シンセは「Modular V」があります。
(これはパーツ固定)
また、Moog900シリーズのパーツを自由に組んで使えるモノもあります。
「VM900 Collection」というVoltage Modularの追加パーツとして販売。
そして、いろんな人がモジュラーシンセを開発。
このあたりから、ライブでの使用、パフォーマンスとしての使用が意識され始めてます。
Buchla 100~200
1963年にDon Buchla氏が開発したモジュラーシンセ。
シーケンサー機能やタッチパネルが画期的だった。
有名なのはBucha 200で独自のタッチパネルで演奏する。
ソフトで再現するなら「Buchla Easel V」が一番近いが…
色々、足りない。
あの謎の羽みたいなの触りたい。
また、SoftubeのModularの追加パーツとして「スペクトル プロセッサ」と「オシレーター」の再現部品が売られてます。
あんまりメジャーじゃないし再現ソフトも少ないが…
コアなファンが多いモジュラーシンセという印象。
ARP 2500
1969年創業でやや後発組。
MoogやBuchlaが既に巨大なモジュラーシンセを作った後の時代。
当時の課題は「チューニングの不安定さ」でした。
その、不安定さの克服を目指して、1970年「ARP 2500」が登場。
このクソデカ銀色の壁は、特にオシレーターにこだわって作られたそうです。(Korgの解説より)
↓演奏風景
これは、ファンの多い機種のようでBehringerから“アナログで”再現モジュールが販売されてます。
VOC → VOF + VCAの基本構成だけ紹介。(これで3~4万飛ぶ)
ソフトでは、「VM2500 Collection」というVoltage Modularの追加パーツとして販売中。
セールによっては、ARP2500に、Moogの900系再現と、後で紹介するSEM再現の3つが入った3年記念んセットがお得な時があるのでこちらも紹介。
他にもいくつか、歴史に消えたモノが有りますが…。
以上がここでの「モジュラーシンセ」の紹介です。
モノフォニックシンセ (~1975年)
1970年~1975年頃の歴史。
この章を表す言葉は下記。
「小型化、持ち運び可能、安価になって普及、使いやすくなる、配線済み、消えた配線(モジュラー)、未だモノフォニック」
まだ単音しか出せないが、ライブパフォーマンスでの使用を想定し、小型化。
さらに扱いやすいように配線済み、もしくは一部配線済みになりました。
そして、広く普及し始めた。
Mini Moog D
1970年に、Moogから「Mini Moog D」というシンセサイザーが出ました。
(A、B、Cバージョンは試作機で世に出てない)
配線は完全に消え、おなじみのシンセサイザーの形になりました。
アナログでは上の部分だけ再現されたModel D。
4和音出せるように魔改造されたPoly Dなどが売られてます。
ソフトでは「Mini Ⅴ」や「Minivers」が再現ソフトとして出ています。
ARP 2600
1971年に、ARPからは「ARP 2600」というセミモジュラーシンセが登場しました。
◆セミモジュラー形式
・内部回路の配線済み
・配線をしなくても動く
・任意の場所に線をつなぐことで自由に回路を変更可能
要するに、モジュラーの良さを残しながら、小型化と手軽さを実現した機体。
ARP2600はARP社の代表機と呼ばれるぐらい有名になりました。
このシンセで機動戦士ガンダムの効果音やスターウォーズのR2-D2の声に使われました。
アナログではKORGやBehringerが再現機を出してます。
ソフトでは「ARP 2600 Ⅴ」や「CA 2600」が再現ソフトとして出てます。
CA 2600、PluginBoutiqueのキャンペーンで貰いました。
そして、ビンテージシンセ沼に突き落とされた思い出の1機。
OBERHEIM_SEM
1974年に登場。Tom Oberheimさんが開発したシンセ。
シンプルで良い音が出るシンセを目指して設計。
一応Studio Electronicsが出したものが、Amazonで売っている。
再現シンセはGFoeceの「OBERHEIM SEM」がおすすめ。
(開発者のTom Oberheimが監修している)
他にも、SEM Ⅴやそのフィルターだけのプラグインが出ています。
※買おうとしてる方はポリフォニックの「8 Voice」まで読んでから決めてください
Cherry Audioからは「Synthesizer Expander Module」というVoltage Modularの追加パーツとして販売中。
VCS3
1969年に登場。
Electronic Music Studios社が開発したシンセ。
鍵盤が無く、シーケンサーで操作する形式。
私は知らなかったですが… 有名らしいので紹介。
ポリフォニックシンセ (~1980年)
1975年~1980年頃の歴史。
ポリフォニックとは和音の出るシンセ。
この章を表す言葉は下記。
「和音を出す試行錯誤、メモリー機能やアルペジエーターの登場、配線が完全に消える、ARP社の衰退」
シーケンシャル・サーキット社のProphet-5が有名になった時代。
さらに当時はディスコブーム
Prophet-5
1978年にDave Smith Instruments社が「Prophet-5」がリリース。
※2018年にDave Smith Instruments社はSequentialに社名変更されている。
坂本龍一さんが愛用したシンセサイザーとして有名になる。
当初は無かったメモリー機能が実装。
個人的に、一番綺麗なビンテージ感がある音が鳴るシンセ。
Prophet-5は、今でも実機が売られている。
Prophet-6ではアルペジエーターが加わった。
他にも10和音対応のProphet-10などのバリエーションが出ている。
(それでも、5が一番有名)
ソフトではRe-Proが一番いい音と言われている。(その分重い)
負荷を気にする人は「Prophet-5 V」という選択肢もある。
ただ、Reproの方が評価が高い。
私はYMO、坂本龍一さん好きの民なのでRePro買いました。
確かに重いが、使えない事は無い範囲。
(というより… Polyのモジュラーシンセの方が重すぎて慣れた)
Polymoog
1975年に、Polymoog社からでたポリフォニックシンセサイザーです。
個人的に、音の広がりが綺麗なシンセ。
これ以上、特にいう事は無い。
老舗の安定と信頼の音が鳴る。
ソフトの再現機では「Polymode」や「PolyM」が売られてます。
その後の1982年、メモリー機能が実装された「memorymoog」が発売されました。
OBERHEIM_8 Voice
1977年に「8 Voice」が登場。
先ほど、モノフォニックの項目でOBERHIMEさんが作った「SEM」を紹介しました。
あの、白い四角い箱です。
あれは… モノフォニックですが、
SEMを2つ合わせて、キー入力の処理を分けると2和音出せるという裏技があります。
Q、では、和音を出すためにどうするか。
A、8個並べる
そして完成したのがOBERHEIMの「8 Voice」です。
個人的に、強く暗めな音が出る鳴るシンセ。
狂った発想。(ほめ言葉)
モジュラーに返り咲きしそうな大きさ。
などから、通称「モンスターマシーン」と呼ばれていました。
ソフトでは、GForce Softwareの「OBERHEIM OB-E」がおすすめ。
Tom Oberheimさんの監修や協力を得て作られた再現シンセ。
Cherry Audioからは「Eight Voice」が売られてます。
Juno 60 / JUPITER-8
Roland社から出たポリフォニックシンセサイザー。
日本製の登場です。
Junoの上位機種が「Jupiter」という扱い。
・1981年に、JUPITER-8が登場
・1982年に、Juno6が登場(ほぼ同時期に、音色を保存できるJuno60も登場)
個人的に、ザラッとした音が鳴るシンセ。
JUPITER-8は公式が再現シンセを出している。
別の会社からも出てるが…
これは、公式を買っておくのが一番無難。
ARP Omni 2 / Quadra
ARP社から出たポリフォニックシンセサイザーです
個人的に、APRらしい明るい音がするシンセ。
1975年にOmni、1977年にOmni 2が登場。
そして、1978年にQuadraが登場。
これはベース、リード、ストリングス・アンサンブル、ポリシンセの4つを1台にまとめたシンセです。
さらに、メモリーやアルペジエーター機能が内蔵。
ソフトでQuadraの再現がCherryAudioから出ています。
Omin 2は… Stringの部分だけ再現された子が出てます。
(他は無さそうでした)
そして、ARP社は1981年に180万ドルの負債を抱え倒産した。
デジタルシンセサイザーの登場(~1990年)
1980~1990年頃の歴史。
コンピューターの性能が上がり、できる事が増えました。
この章を表す言葉は下記。
「さらなる進化、FMとPCM音源の登場、MIDI対応、アナログシンセが再現される」
FM音源の登場 (DX7)
1983年代、YAMAHAがFM方式の「DX7」というシンセを出しました。
◆FM方式
ようするに、Sin波のLFOの変化をピッチに割り当てたモノ。
FMラジオなどに使われる方式。
出せる波形をSin波のだけにする。
そして、Sin波で別のSin波に変化を加えれるようにする。
アルゴリズムによって組み方や影響を与えれる波の数を変えれる。
普通のピッチ変化はビブラートやトモレロといった音の揺らぎを狙ってかける。
FMシンセは、変化を速くして新たな"倍音"を作る事を狙ってかける。
これが、安価でこれまで苦手だった金属的な音色や打楽器系の音色が出せると好評。
そしてMIDI端子を実装し、他のデジタル楽器と組み合わせて演奏することが可能になりました。
DX7はとても大きな進歩で、3年ぐらいブームが続きました。
1980年代の前期は、ほぼDX7の年と言っても過言ではないぐらい、影響力が強いシンセでした。
(そして、今でも売られています)
ちなみに、初音ミクのキャラクターデザインの元になった楽器。
アレンジが入ってるけど、腕の当たりとかがDX7。
ソフトでは無料で「Dexed」というシンセが出ています。
正直、多くの人にとっては、これで十分です。
他にもDX7を再現した「Dx7 Ⅴ」や、FM音源の進化系「FM8」などが出ています。
当時は、この方式で様々な音が作れる!と期待されていました。
が、楽器の音色再現などが上手くできない問題がありました。
そして、PCMシンセに取って代わられる形でFMシンセは衰退しました。
今使うなら… 綺麗な金属っぽい音を鳴らす枠。
もしくは、初音ミクのリスペクトで使うぐらい。
PCM音源の登場 (SK-1 / Fairlight CMI)
要するにサンプラー。
録音した素材を鍵盤などの入力で再生するシンセです。
↓説明するより動画を見た方が早い一品。
このような録音データを事前に収録しコンピューターに保存。
それを鳴らすのが、PCM形式。
1986年登場のCASIO SK-1。
1980年登場した、Fairlight CMIなどが有名。
メリットは複雑な楽器の音をならせる事
デメリットは音量以外の変化が困難な事
Fairlight CMIは世界初のサンプラー、お高くて普及はしなかった。
CASIO SK-1は安価で大ヒット。今でも売られてます。
SK-1のソフト再現は無料で「SKdrummer」が出てます。
Fairlight CMIのソフト再現は3つぐらい出てます。
1つ目の「QasarBeach」は無料配布されてます。
が、vstではなくスタンドアローンなので注意。
有料vst対応だと「CMI V」や「Darklight」があります。
少しシンセから外れますが… 有名なRorandのリズムマシーン。
808や909もPCM音源の流れで登場しました。
そして現在(1990年 ~ 今)
アナログモデリングシンセの登場 (JD-800)
別名「バーチャルアナログシンセ」の登場。
◆アナログシンセとは
電子回路を使用して音を作るシンセ。
これまで(1960~1990年)で紹介したシンセサイザーたち。
その音や操作性が良いというコアなファンはこの時代にもいました。
ただ、アナログシンセは気温や湿度の変化で音が変わる不安定さがある。
そこで登場したのが、デジタル機構を使ってアナログシンセの回路を再現したシンセ。
これが出た時代は、今ほどPCやOSが発展してませんでした。
なので、シンセサイザーの中にパソコンの回路が入ってました。
(それがソフト音源との違い)
1991年に登場した、ROLANDの「JD-800」が有名。
これは、1990年代の曲でよく聞いたことがあるような音が出ます。
他にも2002年登場のKORGの「microKORG」などがあります。
数えられないぐらい色々出ています。
現在では、Korgの「microKORG」は「S MK-1S」として復刻。
そして、ソフトシンセとしては「KC microKORG」の名前で再現されてます。
ROLANDの「JD-800」は「JD-08 Boutique シリーズ」として復刻。
そして、JD-800のソフトシンセが出ています。
デジタルとアナログの合わさったような、1990年代の音を出すのにおすすめ。
アナログシンセを再現したデジタルシンセをソフトで再現するという謎現象が起こってますが…。
RC JD-800は確かにいい音。
1990年代定番のプリセット53番「TK Piano」が使える。
これ使えば、90年代再現で最強になれる。小室哲哉さんっぽさが出る。
Roland cloudのフリープランに加入。
JD-800を単品で買うと入手できます(149$)
…ただ、CPU使用率が高い、重いなどの評判もあり。
シンセサイザーというおまけ付き「公式TK Piano音源」と捉えていいぐらいの一品。
53番「TK Piano」プリセットが最強で、90年代J-Popの音が出る。
(これはアナログの方の動画)
これが、バーチャルアナログシンセです。
正直、JD-800欲しい。
セール入ったらたぶん買う…。(その前に曲作れ定期)
過去の名機のソフトウェア化
windows95の登場でコンピューターが一般向けに普及。
そして、PCがより進歩。
結果、今のDAW、vstプラグイン形式、プリセット形式のようなものが整いました。
そんな中で、アナログモデリングシンセのノリと勢いで過去の名機がソフトウェア化されました。
具体的にはこれまで紹介してきた通り。
Prophet-5で紹介するなら、Repro。
このようなプログラミング言語による再現が行われてきました。
独自のソフトシンセの登場
過去のシンセの歴史を引き継ぎ、独自のソフトシンセが登場しました。
ソフトならではの分かりやすいUIやとっつきやすいなどが魅力。
そして、これらのシンセが今どきの音楽に使われてます。
(Future Bass、Trance、ダブステップ、ハードコアなど)
たとえば、2016登場「SERUM」
一番わかりやすく、プリセットも豊富。
ユーザーも多い覇権シンセ。
個人的に、今どきのシンセで1つ選ぶならコレを買う。
2007年発売の「MASSIVE」
初心者でも使いやすい。
SleepFreaksの解説を見て学ぶならこのシンセ。
2017年発売の「Spire」
Nhatoさんが配布するプリセットが有名。(SERUM版も出てる)
Tranceなどが作りやすい。
2017年発売開始された「VPS Avenger」
評価が高く、最近使ってる人が増えている。
このあたりになると、シンセを理解して無くてもプリセットを選ぶだけでそれっぽい音が作れる。
そして、良くも悪くもプリセット販売が盛んになった。
特化型シンセの登場
独自のソフトシンセが発展する中、〇〇に特化したシンセが登場しました。
例えば、SubBassに特化した「SubLab XL」
太いKickに特化した「Kick 2」など。
このような特化型シンセも登場しました。
パーツを組めるモジュラーシンセが登場
今どきのソフトシンセが出る中、コアなオタクは自由度の高い音作りを求めました。
そして、1960年代に登場したモジュラーシンセが見直されることになります。
1995年、Doepfer A-100というモジュラーシンセが登場。
これはパーツを組み変えれるモジュラーシンセとして売り出されました。
このパーツを入れる、土台になる大きさの規格が「ユーロラック」です。
このユーロラックに任意のパーツを当てはめていくイメージ。
これがきっかけで、モジュラーシンセが再度盛り上がりました。
たとえば、BehringerからARP 2500のパーツを再現した2500シリーズが発売。
他にも独自のモジュールが発売されるなど。
2015年に、DOMMUNEで特集が組まれたこともありました。
シーケンサーなどが使われ、音楽として形になってます。
また、ソフトウェアでも、モジュラーシンセが再現されました。
たとえば「Voltage Modular」や「Modular」など。
多くのモジュラーシンセ再現は、ユーロラック方式です。
ソフトのモジュラーシンセ。
使った感想は… とにかく重い。
モノフォニックはまだ使える。
ポリはCPUが平気で20%飛んで実用レベルじゃない。
個人的に買うなら、Voltage Modularの「VM 900」や「VM 2500」系がおすすめ。
これらのモジュールは、モジュラーでありながらビンテージの属性もあり、
1960年代のビンテージモジュラーシンセの音が作れる。
あとは、Vectorバンドルもとても強い。
ポリだけど比較的軽く、アンビエント系で強い音がでる。
ちなみに、使用したレビューはこちらにあります。
モノで個性が必要なリード系の音でMoog900系、ARP2500を使ったり…
Vectorでアンビエント系の音を出すのに便利
楽器への挑戦、逆FM / 物理モデリング
ソフトウェアでいかに楽器に近い音を出すのかが1つの課題でした。
FMシンセは2020年頃に、逆FMという波形を元に合成する波を決める研究がされました。
結果… 近い音は出るようになりました。
が、まだ本物らしさが出ない楽器もあり課題は多い。
そして、現状は最高級の楽器、演奏者、空間、録音機材を使って収録。
変化できる要素が多い「PCM音源」のようなサンプル収録方式が主流です。
バイオリンで例を出すとJOSHUA BELL VIOLINなどの音源。
録音音源のデメリット
・変化の表現が弱い
・容量が大きい(1音源50Gぐらい飛ぶ)
そこで近年登場し、注目されているのが「物理モデリング」という手法。
楽器の音が出るまでのアプローチ全てをプログラムで再現しようとしたものです。
バイオリンで例を出すと、SWAM Violin v3などの音源。
物理モデリングのメリット
・パラメーターが多い
・変化や表現の強い
・容量も少ない(1G行かない)
・存在しない楽器も作れる(弦の硬さが変わったり、構造的にありえないモノだったり)
・音質も今ではそこまで聞き劣りしない
物理モデリングのデメリット
・最高級録音セットに比べて音が劣る事
・CPUを使う
ここまで来ると宗派の違いですが、好んで物理モデリングを使う人が増えてます。
最高の音源は録音の音源。
ただ、作曲で一番よく”使う”のは物理モデリング系になるようなイメージ。
ここまで来ると、シンセサイザーとは言えないかもしれませんが…
物理モデリングもお勧めなので紹介しました。
まとめ
今回はシンセサイザーの歴史と再現ソフトのプラグインについて紹介しました。
・初期はテルミンなどで奏法や音作りが試行錯誤された
・1930年代には真空管でシンセサイザーの原型ができていた(OndiolineやNovachordなど)
・1960年代、Moogのモジュラーシンセ登場。YMOがライブで使用し一気に商用化
・持ち運びを考えられて、小型化、配線済みになる
・時代と共に和音が出る、波形を作れる、録音素材を使えると言った進化が起こる
・モジュラーシンセは1990年代~ユーロラック方式が登場し、再度注目されている
・今ではソフトウェアで様々なアプローチのシンセサイザーが使える
また、他にも音楽について解説しています。
ぜひ、こちらもご覧ください。
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