【Ableton】DAWで学ぶ音の性質と12音階について

音楽
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はじめに

今回は音の性質について解説します。
・3種類の音(純音・楽音・噪音)
・3つの音の性質(音量・音色・高さ)
・2つの12音階(平均律・純正律)
・12音階以外の音を入れる方法

12音階の成り立ちとAbletonで12音階以外の音を入れる方法と効果を解説

3種類の音について

音は主に3つの種類があります。
・純音
・楽音
・噪音

このうち、“周期性がある”純音と楽音は音の高さや12音階の概念が使えます。
周期性がない噪音は音の高さの操作や12音階が使えません。
理由は後で説明します。

純音

一言で言うとSin波です。
理論上成立する、何も混ざってない純粋な波の形です。

Dawで使うならSana 8bitプラグインを導入 → Pure_Sineで出せます。

無料で波形で音が見れて勉強になります。
さらに、チップチューン系の音も作れるので便利です。

ぜひ、皆様のDawで入れて実践しながら進めてください。

Releases · m-masaki72/SANA_8BIT_VST
Contribute to m-masaki72/SANA_8BIT_VST development by creating an account on GitHub.

アナログなら音叉で近い音が出せます。
鉄さびや指紋などの細かい要因で若干変わります。


※純音は突き詰めると、実際には存在しない理論上の音になります。
 イヤホンで聞いたり、音叉を鳴らした時点でノイズが入るからです。

楽音

Sin波以外の”周期性”を持った音です。
この形が違うことで、ギターやバイオリンやシンセサイザーの音色の違いができます。

形は違えど規則性があるので音階という概念が成立します。

噪音

周期性を持たない音です。
ノイズと言われています。

また、ノイズの波の形にも特徴があります。
結果、ホワイト、ピンク、ブルーノイズなどの音色の違いが生まれます。

Wikipadiaでサンプルを聞けるのでお試しください。

カラードノイズ - Wikipedia

3つの音の性質について

音の性質は下記の3つ。
・音色
・音の大きさ
・音の高さ

この3つについて解説します。

音色

音色の形は波の形です。
人はこの波の形で音色の違いを感じてます。

こちらは楽音、ギター、バイオリン、ピアノ、木琴など。

噪音のノイズも波の形が違うので音色が変わります。

ホワイト、ピンク、ブルーノイズなど。

音の大きさ

音の大きさは波の大きさです。

また、波が大きすぎてマシンスペックが限界を迎えると波形が変わります。
上下の音が圧縮されます。これが音割れです。

◆音量を半分にする方法

-6dB下げると音量が半分になります。

dBバーの半分は音量の半分ではないので注意。

-6dBづつ下げると半分、その半分、その半分と減っていきます。

バーの中間あたりは「元の音量÷32」です。
つまり、とても小さい音量になってます。

これはdBの単位計算に対数(log)が使われてるからです。
細かい計算式が知りたい方は検索したり、関数電卓を買ってください。

難しく考えたくない方は下記の3つだけ覚えてください。
・1dBの差は大きい
・-6dBでは半分
・バーの半分は÷32ぐらいの音量になってる

音の高さ

音の高さは波の幅です。周波数(Hz)で表現されます。
これは規則性がある音にのみ有効です。

ノイズの場合は波に規則性がありません。
なので、音の高さが作れません。

実際にドラム音源などでやると、規則性で分かりにくい音程ができます。
これは、音源の中に含まれる微妙な規則性の影響です。

楽音と噪音が混じった音

現実では100%の楽音、100%の噪音というのはほとんど無いです。
この2つは混ざって存在します。

高校物理などでやった、波の合成が音でも起こります。
波合成のシュミレーションはここが分かりやすいです。

wave2

楽音と噪音の波が混ざると、ノイズの中に鳴る楽音のような音になります。
ドラムの音源や歪みを入れたギターなどが噪音と楽音が混ざった例です。

楽音と噪音が混ざった場合、音の高さは分かりますが、音程が聞き取りずらい音になります。

ドレミファソラジドまで分かりませんが、高いと低いの違いが分かるような音になります。
なので、ドラムは噪音楽器と言われながら、ハイ・ロー・フロアタムのような音の高さがあります。

1音が消えるまで

1音が現れて消えるまでは主にこの4つの流れを辿ります。
・Attack=音が現れ、最大音量に至るまで
・Decay=最大音量から持続的な音に落ち着くまで
・Sustain=鍵盤などを長押しした時に、持続的に鳴り続ける音
・Release=音の終了に至るまで

実際の波形で見るとこの通り。

複数の波が混ざり、その波ごとにADSRの性質が違うので波形の形が途中で変わってます。

また、SustainやAttackなどが無い物があります。

これも、音色に近い音の聞こえ方に影響するものです。

12音階の歴史

ここからは、音の高さについて掘り下げます。
この音の高さを区切ったのが音階です。

この区切り方や、現在の12音階に至るまでを紹介します。

オクターヴ

1オクターブとは周波数が÷2、×2になる関係です。
周波数関係ではAの音が基準に使われます。

A2は110Hz、A3はその2倍の220Hz、A4はその2倍の440Hz…

これがオクターブの仕組みです。

音の区切り方

この1オクターブの区切り方で問題が起こります。

ざっとした歴史は下記。

・元々はピタゴラスが、オクターブを21個に区切った、ピタゴラス音律がありました。
・ピタゴラス音律は複数の音を鳴らすとまとまらず「うなり」が聞こえる問題が起こりました。
・改善するため、15、17、19、31などの区切りが生まれ、人類の試行錯誤が始まります。
・その中で、12音階でできた純正率が登場。和音は最も美しいが、転調や移調が困難。
・純正律の転調や移調問題を解決した平均律が登場。和音は少し濁ったが転調や移調問題解決。

こうして12音階の純正律と平均律が生まれました。

純正律と平均律は12個に音を分ける時の計算式の綺麗さが違います。
・純正律は整数の割り算で出せて綺麗な音がでます。(16/15、9/8、6/5など)
・平均律はルートを必要として不完全な数値で少し濁ります。(12^√2、6^√2、など)

全部の計算式はWikipediaに計算式が書かれてます。

平均律 - Wikipedia

計算式の違いでこのような違いが生まれました。
・純正律=綺麗な音だが、転調、移調に弱い
・平均律=濁ってるが、転調、移調に強い(√が割り切れない数字な為)
・今の音楽は転調や移調をするので、ほとんどのモノは平均

基本的に平均律しかDawは使えません。
が、Cubaseには、純正律と平均律のいいとこどり機能があります。
Classic(Pure 3/5 equalized)機能で、不自然な所はEQで自動修正して調和させる仕組みです。
(正直、お金に余裕があれば、これだけの為にCubaseに乗り換えたい。めちゃめちゃほしい。)

まとめると、どの音階にも微妙に問題があり、不完全です。

この不完全さ、惜しさが、安定音/不安低音、明るい/暗いといった音の性質に繋がってます。
・”惜しい”音は=どこか不安低音、悲しい、哀愁、暗い印象
・完璧に近い音=安定、明るい、まっすぐで、悪く言うと目立たない音

12音階以外の音を入れる方法

12音階以外の音を入れるのは… ありです。
ピッチのエンベロープを操作すると12音階の間にある音を表現できます。

この操作はブルースノートという、ブルースで生まれたテクニックで使われます。

ブルーノート

ブルーノート:E・G・Bの音が半音以下の範囲で下げる操作の事です。
独特の哀愁が生まれます。

Abletonの場合
1,①で左下のエンベロープを有効化
2,②でMidiクリップに設定
3,②でPitchに設定
4,③で人力で下げたピッチを書きます。

これは、ブルースのジャンルで生まれた独特の音楽表現です。
クラシックやジャズの理論では説明できないものです。

ジャズ理論では、メジャーキーにマイナースケールを重ねたものと解釈して発展させています。
(メジャーコードのマイナー置き換えの1種と思ってください)

これも、音階の所で紹介したように、
微妙に上がりきらない”惜しさ”が悲しさや哀愁に繋がってると考えられます。

最大の音域

A0~C8の88音が音楽で使える最大の音域とされてます。
(ピアノではこの88鍵が主流です、一部では97の所もあります)

しかし、心地よく聞こえる範囲はA2~A6前後。

人が聞き取れる範囲

人間の耳でちゃんと聞き取れる範囲が20~2万Hz。
そのうち、きちんと聞き取れるのが4,000Hz前後と言われてます。

なので下記のようになります。
一番低いAの音:A0=27.5Hz、
一番高いAの音:A7=3520Hz
高い音の終了部分を拡大してC8=4186.009Hz。

=A0~C8の88音になります。

不快な音

が、人間は2000Hz~4000Hzの音を不快と感じます。
これは警報音、セミの鳴き声、あかちゃんの泣き声の音だからです。

また、低すぎる1Hz~100Hzの低周波音も不快感を与えると言われます。

88件の鍵盤では20~4000Hzが使われます。
が、実際に快として聞こえる範囲は100~2000Hzの間ぐらいです。

快な音域

快として聞こえる範囲はC#2~B6。
覚えにくいのでA2~A6で覚えます。
実際音楽を作っていて、C#2~B6を意識出来るならそれで大丈夫です。

【Hz数詳細】
・実際の範囲=G#2(103.826Hz)~B6(1975.533Hz)
・覚えやすくした範囲=A2(110Hz)~ A6(1760Hz)

その中で、特に心地よく聞こえるのが400~1200ぐらいと考えられます
・男性の声は500Hz、女性の声は1000Hzが目安。
・癒し系の周波数音は200~800Hzぐらいで落ち着いてます。
・女性の歌声の範囲が地声で、F3~D5(174.614~587.330Hz)と言われている

→ 所説ありますが、できるだけA3~A5付近を狙うとよさそうです。

【Hz数詳細】
・実際の範囲=G#3(207.652Hz)~B5(987.767Hz)
・覚えやすくした範囲=A3(220Hz)~ A5(880Hz)

また、ボーカロイドの場合はC3~C4の間が理想と言われます。

もちろん、A2~A6、A3~A5の外の音を使うのは、NGでは無いです。
が、意図が無ければこのあたりに留めるのが無難と考えられます。

全ての音の周波数を確認して自分で理論を組みたい方はこちらをご確認ください。

音階周波数
音階周波数

まとめ

今回は音の性質と12音階について解説しました。

作曲に役立ちそうな所をまとめると下記。
・噪音には音の高さが無い
・ドラムなどは噪音と楽音が混ざって、高さを感じるが音程を聞きと取りずらい
・音階の問題で、”惜しさ”を感じる音に不安定や哀愁を感じる
・ピッチを微妙に操作して哀愁を感じさせるテクニックがある(ブルーノート)
・快適に聞こえる音の範囲はA2~A6、狙い目はA3~A5周辺

他にも、メロディ、コード、リズムという3つの主要な音楽構成要素について解説してます。

ぜひこちらもご覧ください。

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