はじめに
今回は模写の限界と絵が上手くても仕事がもらえない事についての考えと体験談を紹介します。
模写だけやり続けた絵描きの末路
私はもともと模写が好きで、絵の教本や参考資料を10冊ぐらいすべての図を模写するという事をやってました。
そして模写をやり続けた結果、10人居たら7人ぐらいに上手と言われる絵が描けるだけの”ただの人”になりました。画力的にはこのぐらいです。
これでプロを目指してました。
が、途中で絵が描けなくなりプロは諦め筆を折りました。
模写の限界
模写を描き続けて起こる問題は下記。
・上げた画力で描きたいものが無い
・オリジナルが描けない
・評価される絵が描けない
・仕事がもらえない
・上手い/下手以外の評価指標がない
・自分の絵が嫌いになる
こちらについて解説します。
上げた画力で描きたいものがない
絵を描くという事は何かを伝え表現する為の手段です。
しかし模写は、絵をうまく描く事や絵を描く事自体を目的にする事ができます。
自分の表現したいものや描きたいものに向き合わなくても絵が描けます。
その結果、確かに絵は上手くなります。
しかし表現したいものと向き合う力は育たないです。
その上手くなった絵で描きたいものが無いという現象が起こります。
オリジナルが描けない
模写では自分の表現したいものや描きたいものと向き合う力が育ちません。
その結果オリジナルが描けないという事が起こります。
評価される絵が描けない
模写では伝わる、共感できるといった表現や感情的な部分が育たちません。
その結果、絵が上手いだけで終わる絵ができあがります。
伝わったり共感できるという魅力が無いと評価されません。
どんなに上手い絵を描いても誰にも見てもらえない絵ができあがります。
絵が上手くても仕事がもらえない
世の中に絵描きは沢山います。
その中で、発注する側から〇〇の人と認識されないと仕事が来ません。
ゲーム会社勤務のグラフィッカーのような絵の精度だけ求めらる仕事もないわけではないです。
しかし、作業のほとんどは上手い人が描いた絵の”修正”などです。
1から絵が描ける訳ではありません。
そして、技術勝負になり同じクォリティであれば安い方が使われます。
つまり独自性が無いと価格勝負になり疲弊します。
実績もほとんど非公開なので作品のストックが残りません。
現状を変える為、自分で絵を売り込むも売り込み方が分からなく仕事が取れないという事が起こります。
私がこれを体験して、その先で見たものは競合が多い仕事で価格勝負、安く使われ実績非公開、資産性も少ない仕事で疲弊して絵を辞めるという道でした。
上手い/下手以外の評価指標がない
模写は形がある物に描いたものを近づけていく作業です。
形が近ければ上手くて、破綻していれば下手という分かりやすい指標で見れます。
しかしそこには、伝わったり、共感されたり、評価されるといった感情や表現力の指標がありません。その結果描きたいものが分からなかったり、評価されるものが描けないといった問題が起こります。
自分の絵が嫌いになる
自分は背景が苦手だから背景模写…、キャラの顔もダメだから顔を模写…。
これらを繰り返す事で確かに絵が上手くなります。
それとともに、自分の絵のヘタな所探しも上手くなります。
絵を描いていて楽しいという感情は無くなり、なぜこんな形しか描けないんだ…という自己否定が始まります。
その結果絵を描いてて病みはじめ、絵を描く事や自分の絵が嫌いになります。
まとめ
模写の限界は上手いか下手かという優劣/劣等の世界でしか作品を見ることが出来なくなり、伝わる、共感できるといった表現や感情的な部分が育たない事です。
その結果、絵が上手いだけで伝わったり共感できるという魅力が無く、評価されない絵ができあがります。
上手いだけの絵には需要がないので仕事は貰えず、効果的な営業もできない。
そしてだんだん絵を描くことが嫌になり、疲弊して終わりを迎えます。
私の場合ですが、自分の感情や表現したいものが分からない。向き合いたくない。人に見せたくないという思いでずっと模写ばかりやってました。
しかし、絵は手段、模写は目的でなく方法。
問題は上手くなった絵で何を描きたいかという所にある事に気づきました。
気づいた頃にはもう絵を描く事が嫌いになりプロの道を諦めてました。
こうならないためにも、是非、画力だけでなく自分表現したいものについて向き合ってください。
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