【読書記録】小説「phantom」を読んで【羽田 圭介,本,レビュー】

生き方
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はじめに

今回は小説「phantom」を読んだ感想をまとめます。

本との出会い

「積読チャンネル」の83回を見たのがきっかけです。
↓こんなサムネですが本の紹介でした。

紹介しておいてアレですが…

この動画は120ページぐらいの内容のネタバレになります。
この120ページ部分が結構動きが無いのでネタを知ってると苦行化します。

なので、これから読む人は見ない方が楽しめると思います。
読み終えた後の思い返しにはいい動画と思います。

そして興味を持ち、手に取りました。

大まかな内容と構成

小説版の「DIE WITH ZERO」と「カルト的な新興宗教」的な内容です。

「生活費を切り詰めて米国株に投資する主人公の女性」と「オンラインコミュニティにのめり込む彼氏」の話。

Amazonの説明文を見て「ピンッ」と来た、刺さった人は読む価値があると思います。

外資系食料品メーカーの事務職として働く元地下アイドルの華美は、
生活費を切り詰め株に投資することで、
給与収入と同じ配当を生む分身(システム)の構築を目論んでいる。


恋人の直幸は「使わないお金は死んでいる」と華美を笑うが、
とある人物率いるオンラインコミュニティ活動にのめり込んでゆく。

そのアップデートされた物々交換の世界は、
マネーゲームに明け暮れる現代の金融システムを乗り越えゆくのだ、と。

やがて会員たちと集団生活を始めた直幸を取り戻すべく、
華美は《分身》の力を使おうとするのだが……。
金に近づけば、死に近づく。
高度に発達した資本主義、その欠陥を衝くように生まれる新たな幻影。
羽田圭介の新たな代表作。

引用元:Amazon Phantom紹介文

構成としては全体で170ページあります。
前半の100ページぐらいは「米国株に投資する主人公の女性」の生き方と問題の話。
後半部分は「オンラインコミュニティにのめり込む彼氏」の生き方と問題の話です。

小説として物語が面白くなるのは120ページ以降という印象。
前半は小説というより話がリアル過ぎて動きが弱いかもしれません。

読んでみた感想(軽いネタバレ注意)

私は消費を減らし「資産運用」やってる側なので…
主人公の女性側に感情移入して読んでました。

そしてもっと自由にお金に縛られず、必要そうな自己投資すら惜しむ自分を何とかしたいと。
そのヒントがあるのでは… と思って読んでました。

100ページぐらいの「彼氏の言葉」や「主人公の気づき」はそういう人にとっては薬です。

【一部要約】

ーーーーー

ブランド品も買わず友達づきあいも制限し、分身のような配当システムを作った先に待っているのは、生活保護受給者と同等レベルの配当生活。金は使いきれない。子供が居なければ、節約生活の末に国庫に没収され、ばらまきなどの無駄遣いでチリと消える。

自分が自分である限り、どうやったって "この貧乏質素生活" から抜け出す事はできないのでは?

ーーーーー

使わない金は死んでいる
株を買う事は何かを買ったりすることに入らない。

ーーーーー

投資はベンチャーキャピタルのような新たな価値を作り出すモノなら意味がある。
マネーゲーム的な投資は無意味。

寝る時間を削り海外の株を買う。
お金では変えない貴重な時間を費やして。
いったい何をやっているのか。

ーーーーー

金儲けのために投資に取り憑かれた人は、今後もお金の使い方で周囲に不快な思いをさせながら生きていくんでしょうね。

ーーーーー

株がいつまであるかわからない、その心元なさを消すためにも分身か幽霊か紙一重なものの一部を現実世界で使ってみても良いだろう。

使うべき局面で金を使えない人間は死ぬ。
そこには人間の精神の死も含まれる。

ーーーーー

貯金すればお金を未来で使えばいいという発想になる。
でも今を未来に先送りしても、その未来で何もやらないなら意味がない。
今しかできないことをやり、今を生きる。
お金を "今" 使って初めて今を生きられる。

こういうのを薬的に浴びながら… 変わらないとと思った矢先…
残りの100ページ以降で「お金を使える側の人間の彼氏も不正解」という展開になるんですよね…。

結局は過度な節制やオンラインサロン信仰も「どっちも問題があるよね?」という方向に進んでいきました。

【一部要約】

自己啓発やビジネス書籍の有名人。

両親や職場の喫煙ルームで一緒になる人たちは決して知らない人。
お金持ちや成功者への願望がある人たちしか知らない界隈の人物。

本当のお金持ちや成功者たちからは他人事でどうでも良いと思われてる。
見せ物のビジネスを舞台にした地下芸能界のような存在。

オンラインサロン系2か月以上滞在できたことが無かったので…
私には刺さらなかったのかもしれない。
オンラインサロン側のメモがあまり残ってない…。

(片足突っ込んだ時期はありましたが、人付き合いがダメだった)

そして120ページから物語は動き出して…
170ページで小説として面白かった感じで〆られる構成です。

そして最後の主張は「今を生きろ」になるんですが…

結局は両方の問題点が浮き彫りになって…
何が幸せなのかよくわからない終わり方をします。
この部分は自分で考えるしかないです。

すごいネタバレになるので折り畳みで書くのですが…

【ネタバレ注意の感想】(クリックで展開) 「結局彼氏さん救われてなくない?」という終わり方をして…。
主人公の女性は前に進んだけど、これオンラインサロン的なモノのスタート地点だよねという…

結局私たちは救われないことを受け入れて
それでも今を生きるしかないのかなという感じでした。

なので「こうやって生きろ」みたいな主張は弱いです。

よくある自己啓発本みたいな「明確すぎて強すぎる主張」は無いです。
↓こういうの見たいならこういう本で良い…。

あとサルトルの「嘔吐」やニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」みたいな…
始めに明確な思想があり、それを小説として1本の道筋や救いを示すモノでもありません。
(少なくとも私はそう感じました)

そのような終わり方も含め、答えや救いは無いけど…
「読むことで生き方を考えたい人向け」の本でした。

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たぶんターゲット層としては「インデックスや個別株系の投資家」と「オンラインサロンや有料商材買いがちない人」で、そんな人が生き方を考えたり反省したりするのに良い本です。

ただ、そんな人は少ないよね問題…。
それでも、ピンポイントにそのターゲット層になってる人であれば楽しめる本でした。

オンラインサロンは信頼の宗教、fireはお金の宗教。
どっちも妄信はよくないよね? という話だったと思います。

あぁ… 悪気はないんだろうけど…
某所のライオンがもうそれにしか見えない(?)

まとめ

今回は小説「phantom」を読んだ感想をまとめました。

・「生活費を切り詰めて米国株に投資する主人公の女性」と「オンラインコミュニティにのめり込む彼氏」の話
・この2つに関係ある読者なら考えさせられる内容の本
・明確な答えのようなものは無く、最後は自分で考える必要がある本
・投資家やオンラインサロンの消費者なら読むことで生き方を考えるきっかけになる

他にも読書の記録や生き方についての情報をまとめてます。

ぜひこちらもご覧ください。

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