【比叡山延暦寺】坐禅修行体験記【瞑想,実践方法,ルポタージュ】

生き方
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はじめに

今回は、比叡山延暦寺で坐禅修行を体験したときの内容をまとめます。
比叡山延暦寺会館での修行体験です。

ちなみに、私は無神論者、無宗教の”家系”という立場で、観光としてお寺に行き体験しました。
その事を前提に書き進めます。

きっかけ

元々、瞑想というものを知らずに瞑想に近いことをやってました。
催眠誘導の音声や、ジョン・ケージの「ディープリスニング」の実践など。

※ディープリスニング=瞑想に近い感覚で周囲の音を観察する行為。
どんなに静寂で音が無い場所でも、自分自身の体の音が鳴ることに気づく。
心臓の音、呼吸の音、などを観察する。

そのあとに残る”スッキリ感”を感じ、「何だろう」と思ってました。
後にそれが瞑想の効果であることを知り、瞑想に興味を持ちました。

そして、情報をまとめたり、VRC瞑想会に少し関わったりしてました。

そして、ほぼ独学でやっていたので、
一度、機会があればヨガや坐禅のレクチャーを体験したいと思ってました。

その機会があったのが今回です。

なぜ、比叡山だったのか

正直言うと、観光。
あとは、折角なら有名な所でという思い。

・大阪住で比較的、近場だった
・観光目的で山に登りたかった
・宗教観的に、別の宗教を信じてる人でも参加しやすかった

その体験と取材を兼ねて、今回坐禅を体験しました。

比叡山の坐禅の特徴

坐禅の仕方は宗教によって作法や呼ばれ方が異なることが学びでした。
まず、坐禅は坐禅止観という呼ばれ方をされます。
そして、比叡山では警策の事を、禅杖と呼ぶそうです。

比叡山延暦寺の大きな特徴は、「禅杖で叩くのは自己申告制」という事だと思います。
一般的な坐禅は、坐禅を見てくれる人が判断し、禅に集中する為に叩きます。
比叡山の坐禅は、見てくれる人が前を通った時に手を合わせて申告という形になります。

禅杖/警策で叩く意味

眠け覚まし、体のコリをほぐすなどの効果があります。
長時間同じ姿勢を続ける体の痛みを、別の痛みで和らげる。
そのようなイメージです。

◆禅杖体験

坐禅の正しい座り方を学び、無理をして続けようとした結果。
足が震えてきて、あまり集中できない、今日上手くいかない日だ… と思ってました。
禅杖で叩かれるのをお願いした結果、「流れ変わったな」になりました。
結果、叩かれた後は上手く瞑想状態には入れました。

禅杖、思ってたより痛く無かったです。
丁度いいぐらいの痛さ。
その痛みの感覚に意識を向けると瞑想状態に入りやすい。
おすすめ。

坐禅の仕方

そもそも坐禅は瞑想法の1つという解釈は一般人はそれで大丈夫ですが…。

お寺的には、坐禅はブッタ(ガウタマ・シッダールタ)が悟りに至ったときに行った修行法。
禅や仏教的には、その修行法を真似、悟りに至ろうとしている。
という解釈になるそうです。

坐禅でする事

坐禅でする事は身息心を調える事。

・調身 → 身(姿勢)を調える
・調息 → 呼吸を調える
・調心 → 心を調える

そして比叡山の場合、坐禅=坐禅止観と呼ばれます。
・止観=心を乱さず、特定の対象に集中する事。

今どきの無神論者的に言うと、

姿勢と呼吸を整え、雑念(脳のDMNの活動)を抑制する。
そのために、呼吸、音、などの特定の感覚を観察する。
すると、脳疲労の回復される。
心や精神=脳という臓器によって発生するもの。
つまり、脳という臓器の疲労回復で心が回復する=整う。
という解釈。

座る場所

基本は、仏陀が悟りに至った形を真似てます。
仏陀はインド菩提樹の木の根に座って悟りを得た。

別の木ですが、ちょうどこのような根のイメージ。

出典:Pixabay

この時の状態や座り方を模倣する為、高めの座布団使います。
専用の座布団が売ってますが…普通の座布団でも2枚重ねたり、折りたためば大丈夫です。

※比叡山の体験では、ここまで高くない座布団でした。
 ちょうど、座布団2枚重ねたぐらいの厚み。

座り方

次に座り方。
・あぐら → 楽な姿勢だが、長時間座ると猫背になる。
・正座 → 背筋は伸びるが、長時間座るのに向かない。
そこで、坐禅の座り方「結跏趺坐」の登場です。

①やや高めの座布団を用意。
手前の方に座ります。

左足を右太ももに乗せます。

その後、右足を左太ももに乗せます。

…?
と思われるかもしれません。

これは、ストレッチなどを重ねて柔軟性が上がればできるようになるそうです。

出典:Pixabay

難しい方は、脚を上げずに重ねた座り方(半跏趺坐)やあぐらで大丈夫です。
比叡山の体験でも、正しい座り方をできてる人はほぼいませんでした。

出典:Pixabay

次に、右手を脚の上の楽な位置に置きます。

左手の指の部分を右手に重ねます。

親指を繋いで輪を作ります。
この手の形は法界定印と呼ばれます。

この印は緊張感、集中力、姿勢の崩れ、眠けで崩れます。
逆に言うと、印を保つことで出来度な緊張感や姿勢の維持につながる。

印=仏様の働きをその形で表す。
法界定印=静かに慮る(よく考える)という意味。

以上が座り方です。

宗教によっては手足の左右が違ったり、
ヨガ手を外側に開くタイプもあるようです。

出典:Pixabay

目的は、”瞑想状態”への到達なので形は何でも大丈夫ですが…。
体験しに行く場合はそこに合わせた瞑想法をしてください。

上手く座れない方は、ヨガ 座り方 で調べてみてください。
6種類ぐらいあるようなので、合うのが見つかるはず…?

宗教や宗派と深いつながりが無い、一般の方の場合、
座り方は手段なので、瞑想状態に到達できれば何でもいいと私は思います。

坐禅中に行う事

TVや映画では「何も考えない」や「無になる」というイメージで描かれます。
合ってますが… これでは、何も考えないことを考えてしまいます。

そこで比叡山で教わったのが、数息観という考え方。
一言で言うと「息の回数を数える」瞑想法。

1回、2回、3回、4回…
回数を忘れたらまた0から数える。
比叡山の坐禅ではそれ以上の説明はなく、数は無限に増えるようでした。

こちらの本(P207)では10まで数えると1に戻る → それを繰り返すと説明されてました。

視線について

比叡山の瞑想法では「半眼」と教わりました。
半眼=目を開けているのでも閉じているのでもない状態。

手前1mぐらいの所をぼんやりと見る。

禅杖をお願いする

比叡山の天台宗では、禅杖で叩かれるのは自己申告制です。
→ 見てもらう人が前を通った際に手を合わせる。
→ お互いを見て頭下げる
→ 叩きやすいように、手を前で組み、前かがみになる
→ 禅杖で叩いてもらう(右手3回、左3回)
→ 手を合わせ、一礼して終わる
このような流れです。

禅杖の痛みはそんなになく、肩たたきぐらいの感覚でした。
大きく印象的な音が出るので痛いと思われるかもしれませんが…
体感としては、音が出るように加工されたゴムボール。

微妙に禅杖がしなるのか、体験用に柔らかい素材のモノを使って手加減して頂いたのか…?
そんなに痛くは無かったです。

坐禅を行う上で気を付けたいこと

体験して、気をつけたいと思った事は下記の3つ。

・スマホの電源は切る
・極度な空腹や食後は避ける
・足は無理しない

スマホの電源は切る

瞑想が始まると、かなり静かな状態になります。
マナーモードでも通知の振動が響くぐらいです。

スマホの電源は切る、機内モードにするのがおすすめ。

極度な空腹や食後は避ける

瞑想中はかなり静かです。
1人でやるなら良いですが…

小さな喉のなり、お腹の音が気になります。
空腹時や食後の体から音が鳴りやすいタイミングは避けた方が良いです。

足は無理しない

郷に入っては郷に従え。
という事で、この座り方を頑張ってやろうとしました。

が… 5分ぐらいで違和感が出始め、
結果、瞑想的には上手く行きませんでした。

座り方は無理しない方が良いです。
どうしても、この座り方がしたいなら事前に練習をすることをおすすめ。
ストレッチで体を柔らかくしないとできない。

比叡山の禅体験について

1人1100円。(旅行支援のクーポン支払可)
予約は原則2人以上から。(1人でも大丈夫な事がある)
参加人数は日曜日で6人

開催時間は60分。
40分程度説明。実践20分。

ちゃんと図って無いので、明確な時間は分かりませんが…
 → 30分ぐらい説明
 → 5分実践
 → 10分ぐらい追加説明
 → 15分実践
ぐらいのスケジュールでした。

禅の説明だけでなく、仏教の説明なども受けれます。
入門や初学者にはおすすめ。

悟りのありか

せっかく、仏教のお話もしていただいたので、
興味深かった話をまとめます。

◆悟りは両極端にはなく、中道にあった。

ガウタマ・シッダールタはシャカ族の王として生まれました。
そして、占い師に「偉大な国々を統治する者」になるか、「世を捨て光明を得た者」になるかのどちらかと予言を受けました。

偉大な国々を統治する者 = チャクラバルティン
世を捨て光明を得た者 = ブッダ

ガウタマ・シッダールタはシャカ族の王様の何不自由ない生活を送りました。
・おいしいごはん、別荘、学問、武芸、若くて美しい女性たちなど。

そして、その暮らしに疑問を抱き始めました。
・おいしいごはんは食べれば終わる
・美しい音楽は演奏を辞めれば消える
・若くて美しい女性も年を取ってしまう
どんなに恵まれていても、それらは永遠に続かない。

そんなことを思う中、街中で出家僧を見かけ、心を打たれて城を出る決意をした。
そして、あらゆる修行を行った。

一麻一米という(米粒1つとごま1つ)だけ食べて過ごす修行を続けてました。
それでも、満足のいく成果は出ませんでした。

そして、ある日、やせ細った姿を心配した方にお粥(乳粥)作ってもらいました。
本来なら食べ無かったですが…
結果に満足して無かったのでアプローチを変えて食べる事にしました。
その後、坐禅修行を行い、インド菩提樹の下で悟りを開く事になりました。

その時の学びが「中道」=両極端を避ける事。
何不自由ない生活にも厳しい修行生活にも悟りは無い。
極端に偏った考えは避ける事。

個人的に、最近はゲームなどの娯楽を避け。
毎日可能な限り作業しました。
そして… その先に幸せは無い。
しかし、娯楽とどう付き合えばいいか分からないと感じてたので、
とても救われる話でした。

まとめ

今回は、比叡山延暦寺での坐禅修行体験ルポをまとめました。
・坐禅のやり方は宗派などで違いがある
・禅杖は叩くのは自己申告制
・誰でも体験可能
・足は無理しない方が良い。

あと、予算や時間があれば比叡山延暦寺会館は宿泊がおすすめ。
夜景がとても綺麗です。

桜の開花前は例年であればゴールデンウイーク頃のようです。
興味がある方は行ってみてください。

ちなみに、私が行った3月半ばはスギの花が満開でした。
風で花粉が舞って、白くなるのが見えるぐらいでした。
…花粉症にはつらい。

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