【イラスト/3DCG】ラフスケッチの描き方

スポンサーリンク

はじめに

今回は、イラストや3DCG制作に役立つ「ラフスケッチ」の描き方についてまとめます。

まず作りたいモノについて知る

まず、作りたいモノについて調べます。
どれだけ美術を学び、画力を上げて、精度の高い空間ど立体を描く力を身に着けたとしても、 人は知らないモノは描けません。

試しに紙と鉛筆を用意し、本書を横に置き「クサトベラの花」や「トゲモミジガイ」や 「リュウキュウアサギマダラ」や「ウミシダ科の生き物で棘皮動物門としての特徴、5放射相称がよくあらわれる部分」などを 何も調べずに描いてみてください。多くの人は知らないので何も描けないと思います。全て描けた方は友達になりましょう。

一般的に絵が上手いとされるポイントは立体を描く力。パース、陰影、カメラの知識です。

が、これだけでは絵は仕上がりません。
できてもただ技術的に上手い絵止まりです。
もし、パース、陰影、カメラの正確さが評価されるなら、3DCGの制作工程は全て評価される絵になります。

なので、絵を仕上げるには作りたい、伝えたい「モノへのこだわり(情熱)」と「モノへの知識」が必要です。

同じ画力でも、知識、こだわりの有無でクオリティが変わります。
以上が、まず作りたいものを知る事の解説です。

適正がある事ものを描く

自分の「好き と 嫌い」や「得意 と 苦手」といった “適正” は遺伝的に決まってます。
なので、まず自分が好きで得意なモチーフを選んで描く事が重要です。
苦手なモチーフは描かないようにします。

作品のクォリティを上げるには、作るモノに対する知識が必要になります。
なので、そもそもの興味関心、好きかどうか一番の適正を決める要素になります。

あとは「製作期間」や「案件か個人製作か」など…
細かな “環境” 的な要素があります。

↓詳細はこちらでまとめてます。

【自己分析】クリエイターの適正について【好き/嫌い,得意/苦手】
努力してもできないモノはできないので、自分の適性に合った「好き」で「得意(できる)」事をするが重要。そして、その適正に合ったことが評価される発表場所を探す。適性の有無は "経験" を増やしてエピソード自己診断するのがおすすめ。などを解説。

モノへの知識を得るには

モノに対する知識を得る主な方法は下記の2つ。

・モノに対する情報を学ぶ
・実物を見るなどの "体験" する

モノに対する情報を学ぶは、本などで形の構造、左右反転、放射相称、螺旋、流線型などの形の成り立ちを学ぶこと。

これらの形の成り立ち、構造はこちらで解説。

【クリエイター向け】作品制作に役立つ"モノ"全般の構造について
モノには左右対称、放射相称、フラクタル、流線形、螺旋形といった形に共通する構造があります。このような形の構造を意識して観察や作品制作すると精度が上がります。この記事ではこの形の特徴が何処に出るかや、黄金螺旋はそんなに使わない事などを解説。
【クリエイター向け】作品制作に役立つ"花"の構造について
花形(かけい)は花びらの付き方で「放射相称 ・螺旋入り放射相称 ・左右対称 ・非相称花」などがある。花びらの原形は葉で、3つの遺伝子が関わって葉が花びらになる。この3つの遺伝子の「ABCモデル」を学ぶと八重咲などの仕組みが分かる。などを紹介。

あとは、実際に見る、経験してみるといった”体験”です。
やはり、本などで学んだだけでは分からないことや、それ以上の解像度の高い情報が手に入ります。

以上が、モノへの知識を得る方法です。

ちょっとだけ絵を上手く描くためのコツ

最後に、ちょっと上手く見える絵のポイント。
モノを見る上で気にした方がいいポイントについて解説します。

“間” の形を作る

平面に、石を置いて見ました。
…が、これだけでは絵的に不自然です。
なので、間の形を作ります。

【間の形】

・石と平面の変化の間に小さな石などの形を入れる
・小さな石と平面の間に砂のような小さい粒を入れる

…など

実際の石も机に置いてみると分かると思いますが…
石を平面に置いた時の衝突などの衝撃で少し欠けたり、石に着いてた砂が落ちたりです。この “間の形” が発生します。

“角” に処理を入れる

モノの角には凹凸が発生します。
この凹凸が、形に変化を発生させます。

【凸の変化】
・出っ張ってる部分は、よく色んなモノに当たる
・色んなモノにあたって角は欠けて丸くなる
・モノにあたって、削られて、角の塗装がはげる

【凹の変化】
・くぼんでる部分はモノがあたりにくい
・モノなどの影響が入らないので、汚れやゴミなどが溜まる
・屋外の場合、コケなどが生えることがある

【垂直面の変化】
・水平面に比べて汚れにくい
・雨水などが重力に従って垂れた跡が発生する
・気にするポイントは水関係の跡ぐらい

【水平面の変化】
・垂直面に比べて汚れや剥げが起こりやすい
・室内であればホコリなどが積もって薄く白くなる

【時間経過による変化】
・欠け、剥げ、割れ、汚れなどの要素が増える

以上が、角と角に関する面の変化です。

自然物は曲線/人工物は直線

モノに合わせて、線の形を変化させるとそれだけでクオリティが変わります。
自然物はあえて手ブレなどの揺らぎを使い、ギザギザさせます。

人工物はちゃんと定規などを使い、直線的に描きます。

以上が、自然物は曲線/人工物は直線の解説です。

実際のラフスケッチ制作

ここからは、実際のラフスケッチ制作の様子をお送りします。
(また何か、作る機会がありましたら追加で載せます)

アクセサリーのデザイン画

私が出した本の「Blender ゼロから始める3Dキャラクターの作り方」より…
第3章で作り方を解説したアクセサリーのラフ制作過程を乗せます。

こちらのアクセサリーのデザイン画です。

Blenderに興味がある方は…
ぜひ、こちらも手によってお読みください。

出版社さんからの許可をもらって画像を乗せてます。

(というより、この本に書こうとした内容ですが…
ページ数が増えすぎた関係で入れることができず、
このブログを作って、ここで紹介してという話になりました。)

まず、一番最初に現在の環境から制約や相乗効果について考えました。
本の執筆にあたって、下図のような表紙のラフ画を描いてました。

このキャラのデザイン画については…
“本の第4章前半” 部分で紹介してます。

黄色い5枚の花びらの花は、ラフ画はキャラクターデザインを先に作り、
それに合う色味の花を作ろうとした結果、黄色い花になりました。
全体の色を黄色~オレンジ系で統一し、目に注意がいくようにほぼ反対色の青色を配置。

完全な補色だと、対比が強すぎて、私は苦手なので…
ちょっとだけずらした補色(色相環的に反対の色)を使いました。

このあたりの “色” についてはこちらの本や、色彩検定2級を取ると学べます。

花びらが少ない方が初心者向けで作りやすいと思い、花びらは5枚のモノを選びました。
そして、「アリアケカズラ属」の花をモチーフに選びました。

黄色い5枚の花びらの花は他にも下記のようなモノがあります。

・「オトギリソウ属の花」 → 花言葉にマイナスの意味がありそうなので回避
 (ラフ時点ではこちらを想定して書いてました)

・「カタバミ科の花」 → 良い花ですが、花としてあまり目立たない+小さい花なので
 表紙のラフに合わないと思い避けました。

あとは、事前にレジンを体験。
これは「作りたいモノについて知る」事が狙いです。

思ったより花を詰め込むと綺麗に見えない事を学んだりしました。

レジンについてはこちらで解説。

あとは、レジンの既存の作品をネットで調べたりし…
そしたら、これらの経験をもとにラフ画を描きます。

最初は水晶型にしようとしてましたが… どこか違和感がありました。

左はドフィーネ式双晶、右は日本式双晶をイメージ

ただ、この水晶の構造は初心者向けでは無いのと、違和感があったので…
アリアケカズラ属の花から、南国や沖縄を連想。
そして、沖縄の地質や生成される鉱石について調べました。

【沖縄の地質】

・沖縄は昔の珊瑚が固まって出来た琉球石灰岩がほとんどで
・生成される鉱石はサンゴの石灰岩成分から生成されるモノがほとんど
(鍾乳石や方解石)
・生成に火山が必要な鉱物、水晶(石英)のような石はあまり作られない

そして、分かった事をふまえて、方解石(柱状)の形に変更してみました。

ただ、方解石から南国を思い描く人は少ないと思い…
そもそもの形を考え直す事にしました。
そして、海などの “水” を連想しそうな雫型にすることにしました。

あとは、カラーバーリエーションを作って比較。
最初の色で決定。

以上が、実際のラフスケッチの制作過程です。

まとめ

今回は、ラフスケッチの描き方について紹介しました。

・画力だけあっても、描くモノへの知識や興味が無ければ描けない
・モノの知識は「学習」と「体験」で増やす
・できるなら、現物を見るなどの体験をした方がいい
・間の形、角の形、線の形を描けると少し上手く見える

また、他にも絵や3DCGについて解説してます。

ぜひ、こちらもご覧ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました