【音楽】JD-800 Model Expansionの使い方【DTM,プラグイン】
Roland公式がJD-800を再現したシンセサイザーです。JD-800 Model Expansionは「ZENOLOGY」の中で動作します。音は単体で動くJD-800とほとんど変わらないです。こちらの導入~使い方を解説。
JD-800との違い
JD – 800の再現シンセは「JD-800 Model Expansion」と「JD-800」の2つが出てます。
この2つの違いは「見た目」と「操作性」です。
形が違うだけで、昨日はほとんど同じです。
(Zenologyのエフェクトが使える、全体のリバーブがある、この2つが違い)
拡大用のツイッター画像。
音的な違いは… 正直、無いに等しいです。
音は強いて言えば、JD-800の方がややフラット。
JD-800 Model Expansionの方がやや立体的かなという印象。
JD-800はZenologyのエフェクトが使えません。
しかし、ZENOLOGY FXを刺せば代用可能。
Zenology系エフェクトの順番が最後になることが、JD – 800のデメリット。
また、全体のリバーブもJD-800にはありません。
JD-800目当てならどちらでも大丈夫です。
足りないものは他のプラグインで代用可能。
◆JD-800 Model Expansionの強み
・開いた時に前回使用したプリセットが読み込まれる
・4トーンの操作が分かりやすい
・エフェクトをほぼ全て1画面で管理できる
・Zenologyのエフェクトモジュールが使える
・最後の全体にかけるリバーブがある
・若干軽い(ほんとに少しだけ)
◆JD-800 Model Expansionの弱み
・実機を使ってる感は全くない
・プリセット名で「JD-800」を検索しても出ない
・他の音源をZenologyで使う場合、探すのが手間
・プラグイン名がZenologyになるのでトラック名を変えるなどの編集が必要
・単品購入ではプリセットを保存できない可能性がある(プリセット保存には、土台になってる”Zenology”のフル版購入が必要(?)229$
◆JD-800の強み
・実機に近い形
・プリセット名で「JD-800」で検索できる
・単品購入でプリセットを保存できる
◆JD-800の弱み
・開いた時に読み込まれるプリセットが1-1に固定
・4トーンの操作が分かりずらい
・エフェクトを操作するのに画面を変える必要がある
・Zenologyのエフェクトを使うには「Zenology FX」を刺す必要がある
・最後の全体にかけるリバーブが無い
・若干重い(ほんとに少しだけ)
個人的に「JD-800 Model Expansion」で良いと思います。
EQやエンベロープがグラフ表示で分かりやすいのが魅力。
JD-800を買ったポイントは「90年代の音」をそのまま使える所。
小室哲哉さんが使用した、プリセットの53番「Ac.Piano 1」を、公式が再現した音を使うために買いました。
プリセットの使用がメイン。
やっても、ちょっとした改造ぐらい。
なので、個人的にプリセット保存は無くても大丈夫かなと思いました。
もし、プリセット保存使いたいぐらいこだわるなら「Zenologyのフル版(229$)」を買う。
ZenologyにはドラムマシーンTR606、707、808、909を再現した素材が入ってるので普通に買う価値あり。
TR系のドラムマシーンの比較はこちらで解説。
【音楽】RolandのTR系ドラムマシーンソフト比較【DTM,プラグイン】
TR系ドラムマシーンはRolandが再現ソフトを出してます。公式音源は無印のTR系とZENOLOGYというシンセ中にあるものがあります。無印の方が音が良いですが、その分高価。またAbletonや他の会社が出してる再現はやはり少し違います。こちらを解説。
JD-800を導入する
JD-800 Model Expansionは下記の手順で導入します。
1,Roland Cloudの導入
2,JD-800 Model Expansionを購入する
この方法を解説。
Roland Cloudの導入
Roland Cloudはサブスク契約できます。
が、ここでは単品で購入します。
こちらのページにアクセス。
画面下部までスクロールし「Downloadはこちらから」をクリック。
Roland - Roland Cloud Membership
Roland Cloud Membership
ダウンロードした.exeを実行。
指示に従ってインストール。
Roland Cloud Managerが入ったことを確認。
アカウントが無ければ、アカウント作成。
サインインします。
これで、Roland Cloudの導入が完了です。
JD-800を購入する
購入の仕方は下記の2つ
・サブスク契約
・単品で買う
サブスク契約
Roland Cloudを立ち上げ。
画面右上の「メンバーシップ」をクリック。
ここで契約できます。
契約プランは下記の4つ
・Free (無料)
・Core (29.99$/年、2.99$/1ヶ月)
・Pro (99.00$/年、9.99$/1か月)
・Unlimate (199.00$/年、19.99$/1か月)
JD-800 は「Unlimate」を契約すると使うことができます。
以上がサブスク契約での購入法です。
単品で買う
ソフトウェア → Legendaryを選択。
中にある「JD-800」を選択。
右側の3つの点をクリック。
カートに入れるボタンが出てきます。
右上のカートをクリック。
ここで購入できます。
以上が「単品で買う」方法です。
あとは、プラグインからJD-800を開きます。
以上がJD – 800の導入方法です。
JD-800の基本操作
Presetの所でプリセットを選べます。
「Ac.Piano 1」は 5-3にあります。
右下PANELより「COMMON / EFFECTS」をクリック。
すると、エフェクト操作画面に切り替えれます。
TONEを選択すると、元の表示に戻せます。
JD-800は4つの音を出す回路があります。
これの「ON/OFF」と「操作対象」は左側で切り換えれます。
ACTIVEを切り替えると、このように4つ分の設定が出てきます。
拡大縮小は画面の左下。
何かを操作すると、操作した内容がTONE A~Dに表示されます。
この状態で、PALETTEを操作。
すると、画面を切り替えずに4つの設定を操作できます。
処理の順番は書かれてないので、JD-800 Model Expansionから確認します。
右上に処理順が書かれた場所が出てきます。
大きな流れは下記。
・音を出す回路(TONE A~D)
・EQ
・エフェクト(A)
・エフェクト(B)
以上が基本操作です。
音を出す回路について
音を出す回路は下記。
こちらを下記の順で解説していきます。
・入力設定
・波形生成
・フィルター
・アンプ
・音程操作ENV
・LFO
入力設定(COMMON)
ここでは下記の2つを設定できます。
・ペダル系の操作
・ベロシティのかかり方
HOLD CONTROLとは、ホールドペダルの意味。
ホールドペダルは、ダンパーペダル、サスティンペダルなどの総称です。
ONにしても、実際に動かすには、このようなペダルが必要になります。
リンク
以上が入力設定です。
波形生成(OSC/VCO)
WGの「WAVE FORM」で波形を選べます。
他のWG設定項目で波形を操作できます。
それぞれの意味は下記。
・WAVE GAIN = 音量の操作
・PITCH COARES = 音程を半音変化
・PITCH FINE = 音程を1Cent単位で変化
・PITCH RANDOM = 音程をランダムに変化
・KEY FOLLOW = 音程の変化量
(+100%が正常、+200%にすると1オクターブの操作で2オクターブ動く)
・A-TOUCH BEND = アフタータッチの有効 o r無効化
・BENDER = ピッチベンドの有効 o r無効化
・A-TOUCH MOD = アフタータッチでの変化設定
・LFO1 = LFOでの変化設定
・LFO2 = LFOでの変化設定
・LEVER = Modホイールによる変化設定
アフタータッチとは鍵盤上で指を動かす操作。
このような動作です。
「ホイール」と「アフタータッチ」の対応は下記。
以上が波形生成です。
フィルター(VCF)
TVFがフィルターです。
画面上部にエンベロープがあります。
エンベロープは5つの制御点があります。
Model Expansionで表すなら下記。
その他の機能は下記の通り。
【TVF ENV】(俗にいう、フィルターエンベロープ)
・T1~L4
= 5つの制御点があるエンベロープ操作
・VELO
= ベロシティーの強さでエンベロープの"有効度"を変える
・TIME VELO
= ベロシティーの強さでエンベロープの"時間"を変える
・TIME KEY FOLLOW
= 音程でエンベロープの時間を変える処理がある。その"音程の閾値"
【TVF】
・MODE = フィルターの種類(低音、中音域以外、高音カット)
・CUT OFF FREQ = どの周波数を閾値にカットするか
・REZO = カットが始まる前の周波数強調(ミョーンってなるやつ)
・KEY FOLLOW = 音程でカットする周波数を変えれる
・LFO関係 = 音量にLFO割り当て
・A-TOUCH = アフタータッチで周波数操作(鍵盤上を指で動かすやつ)
以上がフィルターです。
アンプ(AMP/VCA)
TVAがアンプです。
画面上部にエンベロープがあります。
エンベロープは5つの制御点があります。
Model Expansionで表すなら下記。
その他の機能は下記の通り。
【TVA ENV】
・T1~T4
= 5つの制御点があるエンベロープ操作
・VELO
= ベロシティーの強さでエンベロープの"有効度"を変える
・TIME VELO
= ベロシティーの強さでエンベロープの"時間"を変える
・TIME KEY FOLLOW
= 音程でエンベロープの時間を変える処理がある。その"音程の閾値"
【TVA】
・LEVEL = 全体の音量
・BIAS DIRECTION = 「BIAS POINT」を基準点にし、音量を変える
→ UPPER = 基準点より高い音に変化
→ LOWER = 基準点より低い音に変化
→ U&L = 基準点を中心に低音と高音を左右対称に変化
・BIAS POINT = どこを基準に音量の強調を入れるか(64 = C4)
・BIAS LEVEL = 音量をどのように変化させるか(+で強調、−で抑える)
・A-TOUCH = アフタータッチで音量操作(鍵盤上を指で動かすやつ)
・LFO関係 = 音量にLFO割り当て
以上がアンプです。
音程操作(Pitch ENV)
PITCH ENVで音程を段階的に変化できます。
ピッチのエンベロープは操作項目がやや少ないです。
Model Expansionで表すなら下記。
【TVA ENV】
・T1~L2
= エンベロープ操作
・VELO
= ベロシティーの強さでエンベロープの"有効度"を変える
・TIME VELO
= ベロシティーの強さでエンベロープの"時間"を変える
・TIME KEY FOLLOW
= 音程でエンベロープの時間を変える処理がある。その"音程の閾値"
以上が音程の操作です。
LFO
LFOは2つあります。
SYNCを押すと、BPMと同期します。
あとは、一般的なLFOと同じです。
・SYNC = BPMに同期
・RATE = 波の幅
・DELAY = LFOがかかるまでの時間を遅らせる
・FADE = 時間経過でLFOを弱める
・WAVEFORM = 波の形
・OFFSET = 波をずらす
・KEY TRIG = 鍵盤を押した時にLFOが始まる
以上が、LFOです。
COMMON / EFFECTSの処理
MIDIキー入力コントロール
「BEND」と「KEY RANGE」がMIDIキー入力関係のコントロール処理です。
・BEND RANGE _ UP = Pitchホイールを上げた時の音程変化量
・BEND RANGE _ DOWN = Pitchホイールを下げた時の音程変化量
・A-TOUCH BEND SEND = アフタータッチによる音程変化量
(キーボードの上で指動かすヤツ)
・KEY RANGE = MIDIキー入力の有効範囲、基本は使わない
以上が、MIDIキー入力コントロールです。
エフェクト処理
エフェクトは下記の3つに分類されます。
・EQ
・様々なエフェクト(グループAとB)
・全体ユニゾン
それぞれの配置はこちら。
この4つを解説していきます。
EQ
制御点が3つのEQです。
MIDのみQの設定項目があります。
Model Expansionで表すなら下記。
Model Expansionを見る限り、EQは一番最初にかかるようです。
なので、基本はカット用。
EQの詳細はこちらで解説。
あと、EQ横にある「PATCH COMMON LEVEL」は全体の音量になります。
厳密にはEQでは無いですが、近くにあるのでまとめて紹介しました。
以上がEQです。
様々なエフェクト(グループAとB)
エフェクトは7つあります。
これらはAとBのグループに分けられます。
名前の左上で有効化できます。
名前の所をドラッグ&ドロップでAとBグループ内でかける順番を変えれます。
それぞれのエフェクトの意味は下記。
【グループ A】(JD Multi)
・DISTORTION = 音に歪みを加える
・PHASER = 音にうねりを加える
・SPECTRUM = EQのようなもの、グラフィックイコライザー
・ENHANCER = 倍音を付加する、主に高音域の抜けを良くするためのもの
【グループ B】
・CHORUS = 音の厚みを増やす、複数の音が鳴ってるようにする
・DELAY = やまびこ、音の遅延
・REVERB = 反響音、
また、右側の所でグループに合わせた操作が行えます。
Aグループは「ON/OFF」と「音量」を変えれます。
Bグループは「DRY – WET」と「音量」を変えれます。
以上が、様々なエフェクト(グループAとB)です。
全体ユニゾン
ユニゾンは同じ音を複数鳴らす処理。
プリセット右側の「UNISON」ボタンでユニゾンを有効化できます。
この処理は、4つの音が出る回路全てに影響を与えます。
有効化すると、音の厚みが増えます。
以上がCOMMON / EFFECTSの処理です。
モノフォニック関係の処理
モノフォニック関係の処理はプリセットの右側にあります。
それぞれの設定項目はこちら。
・SOLO = モノフォニック化する
・SOLO LENGT = キーを押しながらの別のキーを押した時のアタックが消える
◆PORTAMENTO
= 最初の音から、別の音への変化を滑らかにする処理。
・ON = PORTAMENTOを有効化する
・MODE = PORTAMENTOのかかる条件分岐
→ NORMAL = 常に入る
→ LEGATO = 2つ以上のキーが押された時だけ入る
・TIME = PORTAMENTOの変化時間
以上がモノフォニック化関係の処理です。
その他の操作
UTILITYをクリック。
すると、4つの回路のコピー、ペースト、初期化などが行えます。
MENUをクリック。
ここで細かな設定を触れます。
・上2つはレイアウトの変更
・4つのMIDIはMIDIマッピング設定
・Voice Limitは、音を出す負荷の設定(上げると重くなり、音が良くなるが)
・Authenticationは、ZENOLOGYのライセンス認証
・Helpは、説明書の表示
・About Aboutは、バージョンなどの表示
VOLUMEで全体の音量を上げれます。
プリセット関係の処理
左側の矢印ボタンでプリセット切り替え。
NAMEで名前を変えれます。
PATCHでプリセット専用画面を表示できます。
NEWでプリセットを保存できます。
おまけ:53-KT Piano再現
JD-800は小室哲哉さんが使用した53番の音源が有名。
通称KT – piano。
globe / 「DEPARTURES」などに使われたアノ音。
細かい事は、こちらで詳しく解説されてます。
ここでは、要点を抜き出して再現する方法だけ解説します。
JD-800の53番ピアノを再現したVSTi No.53 Piano V2
※2022/5/11更新 あの有名な?JD-800の53番ピアノ、通称TKピアノをKONTAKTとVSTiで再現してみました。 再現度にはかなりこだわっていますので、いろんなメーカーから販売されている再現系や個人が制作したものの中でもかなり
ちなみに、参考元にしたkt Piano解説サイトの作者さんが作った無料のkt Piano再現ソフト「VSTi No.53 Piano V2」はこちらで解説。
【音楽】VSTi No.53 Piano V2の使い方【無料,音源】
これは、小室哲哉さんが使用した「kt Piano」を再現した無料音源です。kt Pianoは、RolandのJD-800の53番「Ac.Piano 1」を元に作られました。こちらに近い音が鳴ります。音の出る回路は2つ、エフェクトはEQとリバーブのみ。こちらの導入~使い方を解説。
まず、プリセット5-3の「Ac. Piano 1」を読み込み。
TONEを選択し、PANELを変更。
ベロシティーカーブを2番目のモノに設定。
これで、kt piano的な弱く引いた時の音の丸み、強く引いた時のカーンという音の再現ができます。
PALETTEで「TYPE2」の設定を4回路に設定。
LAYERで「TONE D」を有効化。
ACTIVEで「TONE D」を表示。
WGの中にある、K.Fを100%や101%に設定。
実機は102%ですが、ソフトだと誤差が大きいので修正。
以上がkt pianoの再現です。
まとめ
vst版、JD – 800の使い方を解説しました。
・単品で動くJD – 800の再現シンセサイザー
・右下のPANELで「音編集」と「エフェクト」の画面切り替えが可能
・4つの音が出る回路があり、画面左上の「TONE」で操作を切り換えれる
・PitchとModホイール、ペダル、アフタータッチの制御に対応
・SOLOを使えばモノフォニック化可能
・公式の説明書が日本語で充実している
・その他、必要に応じてCtrl+Fで機能を検索
また、他にも音楽について解説してます。
ぜひ、こちらもご覧ください。
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