はじめに
今回はWaveFolderとWaveShaperの違いについてまとめます。
この2つは「波形」を作るエフェクトになります。
・WaveFolder
→ Sin波を追加+増幅した音を折り返す処理
・WaveShaper
→ 入力音量と出力音量に差を作り波形の形を変える処理

この2つは名前が似てますが全くの別物です。
この違いを解説します。
WaveFolder
WaveFolderは下記の2つの処理を行います。
・入力した音程に合わせたsin波を追加
・閾値を超えた音を折り返す
まず音の加算です。
入力した音程に合わせて基本的には「sin波」の音が追加されます。


加算なので波形は「元の音」+「sin波」的な特徴を帯びます。
加算した音の音量を上げれば上げるほどsin派の性質が強まっていきます。
加算した音は音量を上げれます。
ある程度音量を上げると…
WaveFolderは音割れせず、折り返す形で処理されます。

さらに音量を上げると折り返しが起こります。
そしてどんどん複雑で音程が分からない音になります。
最後は「ノイズ」的な音になります。

sin波を足してるので、影響度を上げるほど波形の原型が「sin波」に近づいていきます。

どんな波形を入れても、効果を上げた状態にするとsin波っぽくなります。
→ 入力波形による音色の差が出にくくなります。
以上がWaveFolderの解説です。
WaveFolderの特徴的な変化
WaveFolderはその仕組みから下記の2つのような特徴的な変化が発生します。
・音量のエンベロープ変化に合わせて影響度を変える
・和音を入力した場合、高確率で複雑な波形が発生させれる
WaveFolderは音量の大きさでエフェクトのかかり具合が変わります。
なので入力音量にADSRといったエンベロープを入れると…
ノイズ的な音から整理された音に変化させることができます。


分かりやすい説明用にSin波は足されるいいましたが…
実際は「かけ算」で入ってます。
「元の音」+「元の音の音量×sin波」のイメージ
(実際にこの計算式なのかは不明)
なので、音量が0に近くなるとsin波の足され具合も減ります。
またWaveFolderは入力した波形から加算するsin波の音程を決めてます。
なので、音程が違う2つ以上の音を入力すると、高確率で混沌としたノイズ的な音が作れます。

ただし1オクターブの和音の場合、複雑な挙動にならないので注意。

この性質を利用し、音の切り替えの際に前の音を少し残す形で入れると、音の切り替わるタイミングに少し変化をつけれます。


WaveFolderは実用的に使いやすく、独自性の高い変化が作れます。
以上がWaveFolderの解説です。
WaveShaper
WaveShaperを理解するために、まず波形のおさらいです。
波形の高さは音量の変化量を表してます。


下方向も音量の変化になります。
音量0の状態は一直線。
WaveShaperに “入力する” 音量は横方向の移動に対応してます。

説明用に用意したMWaveShaperの場合…
入力波形の最大音量が縦棒の動きとして表示されます。

↓ 波形の音量、変化量だけ動く様子がわかると思います。

そして斜め方向に上がった線は出力音量です。
何もしなければ「-16dB」の入力は「-16dBの出力」として処理されます。

そしてWave Shaperはこの斜めの線を操作できます。
試しに上にあげると「Out」の音量が上がる様子が確認できます。

これは「-16dB」の入力を「-8dB」の出力に置き換える処理が働いた影響です。
グラフを操作すると、このような操作が行えます。

その結果、音量が増幅しました。

説明用に影響度のWETを100%にした状態でグラフを作成。

そしてSin波を入力すると、下図のような矩形っぽい変換が起こります。

先ほどのグラフを確認。
音量が低いところの音量を上げるような線が入ってるのが確認できます。

この操作により音量が低いところが急激に上がりました。

結果、矩形波に近い形になります。

このような「入力」と「出力」の音量にズレを作り波形の形を変えるのがWaveShaperです。

あとはModeなどがある場合、変換のかかり具合が若干変わります。
その結果、生成される波形の形が変わります。

WaveShaperは面白い形の波形が作れる
WaveShaperの特徴は面白い形の波形が作れることです。
上下非対称機能を有効化すると、グラフの表示の意味が変わります。

これを活用することで、上下非対称の形を作れます。

結果、面白い形の波形が作れます。

これの主な用途は「音の歪み」を作るです。
iZotopeの「Trash」の歪み生成もWave Shaperで行われてます。


MWaveShaperは仕組みを理解するための入門機。
Trashは実際に活用するための実用機的な印象。
以上がWaveShaperの解説です。
まとめ
今回はWaveFolderとWaveShaperの違いについて解説しました。
・2つは波形を作るエフェクトです
・WaveFolderが「Sin波を追加+増幅した音を折り返す」処理
・WaveShaperが「入力音量と出力音量に差を作り波形の形を変える」処理
・名前が似てますが処理は全くの別物
・WaveFolderの方が時間的な変化などが加えれて活用しやすい
また他にもDTMやプラグインについて解説してます。


ぜひ、こちらもご覧ください。
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