はじめに
今回はAIで1万枚生成して見えた可能性と問題点についてまとめます。
2022年のStable DiffusionやNovel AIが話題になった時点のAI話です。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-01-1.jpg)
AI絵以外の事はこちらでまとめてます。
AIのできる事
AIの得意な事はこちら。
・40~80点のイラストの量産
・アイコンイラストの生成
・1枚完結の85点ぐらいの絵
・フォトバッシュの素材作成
40~80点のイラストの量産
40~80点のイラストが量産できます。
イラストのアイデアなどに役立ちます。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-02-3.jpg)
一部では、イラスト集として売る動きがあるみたいです。
私は…否定や肯定もしませんが、Kritaを使ってモザイクをかける方法だけ紹介しておきます。
アイコンイラストの生成
全体的にいまいちでも、顔だけ切り取ると整って見えます。
なのでアイコンイラストなどは作れます。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-11-1.jpg)
SKIMAやCoconaraでアイコンイラスト1枚3000円~8000円のような仕事は消えそうです。
1枚完結の85点ぐらいの絵
AI生成は100回に1回ぐらいSSRが出てきます。
これは、右腕が不自然ですが…トリミング次第でこのまま使えます。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-12-1.jpg)
試しては無いですが…これで、同人音声のジャケットイラストなどは生成できると思います。
声関係の人には嬉しい技術かもしれません。
自然系の背景描画
自然は… 崩れててもだいたい正解になります。
なのでAIの弱みが分かりにくいです。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/09/image-02-11.jpg)
普通に使える位の絵ができます。
フォトバッシュの素材作成
一見失敗に見える絵でも素材として使えます。
この絵だと腕とリボンが綺麗で使えます。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-13-1.jpg)
このような素材を組み合わせて絵を作る技法がフォトバッシュです。
風景系は写真などの素材があり、この方法がよく使われてました。
この本が作例として分かりやすいです。
キャラでこれをすると素材が「既存の絵」しかなく、権利的にNGです。
が、AIが絵の素材を生成できるようになったので、キャラでもフォトバッシュができるようになりました。
以上ができる事です。
AIのできない事
AIの苦手な事はこちら。
・キャラを似せ(超有名キャラ以外)
・細部の修正が弱い
・絵の中にある特定の”物”を描く
・共感、評価、伝わる絵が描けない
キャラ似せが弱い
まず、AIで初音ミクが描けるのは初音ミクが有名で学習元が大量にあるからです。
なので、ゲーム用に作ったオリジナルキャラのキャラ似せなどはできません。
2枚以上の同じキャラの別構図が必要なコンテンツは…現状のAIでは作れません。
(同人音声の1枚絵はできるが、同人ゲームの差分的な絵は難しい)
+背景でも同じ家、同じ部屋の別角度は難しいです。
細部の修正が弱い
似せるのが苦手なので、修正は上手く行きません。
例として、ベタ塗りで修正して再学習 → 再生成しようとした事例を紹介します。
まずこの不要な足を治そうとしてます。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-03-2.jpg)
ベタ塗りしました。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-04-2.jpg)
これをNMKDに読み込ませて再生成を試みます。
Image Strengthを上げると、原形は残りますがベタ塗りが修正されません。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-05-2.jpg)
Image Strengthを下げると、修正されますが別物になります。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-06-3.jpg)
Maskで修正する部分を決める方法を試します。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-08-1.jpg)
上手く行きません。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-07-3.jpg)
お絵描き経験者は力業で治せます。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-09-2.jpg)
…が、経験者は他の形が気になり始めます。
![](https://signyamo.blog/wp-content/uploads/2022/10/image-10-2.jpg)
そして、普通に1枚絵を描くぐらいの集中力と時間を使って修正することになります。
詳細はこちらで描きました。
絵を描くモチベーションが弱い人間にとっては3枚目で飽きて辛くなりました。
・絵経験者じゃないと不具合が治しにくい。
・経験者だと色々気になって修正箇所が増えて1枚絵描く並の労力が必要。
細部という点で見ると…今一つなのが現在のAIです。
ちなみに手は素材を買うなどの対処法があります。
絵の中にある特定の”物”を描く
キャラの絵の中の”手”のようなものは作れません。
(かなり工夫や試行回数を増やせば、できない事は無いですが、多分描いた方が早い)
共感、評価、伝わる絵が描けない
AIが描く絵は一言で言うと「上手い」けど「評価されない」絵です。
絵を通して伝えたいメッセージやテーマが分からないです。
AIが描いた絵を清書して、SNSに上げましたが100いいねを行くことは無いでしょう。
そして実際に評価される絵はこのようなものです。
根本的なメッセージさえあれば、上手さはこれぐらいで大丈夫です。
メッセージがあるから共感、評価、伝わるが生まれる。
そもそも絵は何かを伝えるためのもの。
AI絵の今後
今後より性能が向上し上手い絵が描けるようになると思います。
つまり、「絵の上手さ」の価値は下がります。
が、上手いと評価されるは別。
なのでこれから必要になる能力は、絵を描くのではなく絵を使う能力。
絵を使った何かを企画する能力だと思います。
漫画やゲームなど。
漫画の場合、漫画家は残りますが漫画アシスタントは消えると思います。
漫画家=「メッセージがあり、共感、評価、伝わる」物を作る仕事。
漫画アシスタント=「上手い絵を作るお助け役」の仕事。
まとめ
今回は1万枚生成して分かった「できる事」と「できない事」についてまとめました。
・80点ぐらいの絵は作れる
・キャラのフォトバッシュができるようになった
・メッセージがあり、伝わる絵は作れない
・キャラ似せが弱い
・細かな部分でいろいろ問題あり
また、個人的にですが、今回のAI騒動は、AIそのものより、その情報に反応する人間側の問題を感じました。
凄く見える成功例が拡散され、バズり、それにいろんな意見を思い思い呟き、いつの間にか偏った思考が形成され過激になる。
詳しく知りたい方はこの本や「エコーチェンバー現象」や「フィルターバブル」などで検索してください。
また、AIが生成したイラストを加筆する過程をこちらで紹介してます。
AI CG集の調査はこちら。
ぜひ、こちらもご覧ください。
コメント
質問です。85点の絵というのはどのようなキーワードで生成したのでしょうか。教えてください。
2か月前ぐらいのこの記事ではキーワードに特別な工夫は無く、ただ大量の枚数を刷って選ぶイメージでした。
最近では「モデルの性能向上」「ネガティブプロンプトの使い方研究」「クォリティを上げるワードの研究」この3つが進みかなり性能が上がりました。
Acertainthingというモデルの使い方でこの事を書いたので良かったら見てください。
https://signyamo.blog/acertainthing/
(こちらで、クォリティを上げるキーワードを紹介してます。)